第69話 死神

 小野梨紗は真剣に言った

「絶対に、後ろを見ちゃだめよ!」

 稲垣京香は事情が分からなかった。

「ねえ、遠藤君、どう言う意味なの」

「ハロウィンの日に、後ろから足音が聞こえたら注意するんだって! 振り向いて見た相手が、死神だと命を奪われるんだ!」

「えー! それ、凄く怖いよ!」

稲垣京香と桜井メイも恐怖した。無論、皆も初めての体験だ。耐えがたい恐怖を感じたのだ。皆は、だんだん早歩きになった。すると音もだんだん早くなった。

「コツ、コツ、コツ、コツ、タ、タ、タ、タ」


 皆は後ろも見ずに走り出した。

「キャー、怖い怖い!」


 すると、後ろから声がした

「おーい! 待ってくれー、みんなー! どうしたんだよ」海斗は気付いた。

「ねえ、この声マスターだよ!」

皆は足を止めた。皆は怖くて後ろを向けなかったが、海斗は振り向いた。

「ほら、マスターだ!」

皆はゆっくり後ろを向いた。


 皆はホットして、しゃがみ込んだ。

「おいおい、忘れ物だよ。松本君のスマートホンじゃ、ないのか?!」

 松本蓮はマスターから、スマートホンを受け取り確認をした。

「あっ、ホントだ。マスター、走らせちゃってゴメン」

「いったい、どうしたんだ?」松本蓮が答えた

「実は梨紗がね、ハロウィンの日に後ろから足音を聞いたら死神だと思えって、

言うんだよ。それで逃げたの」

「は、は、は、それは驚かしたね。本場のハロウィンは色々有るんだね」

「マスターも帰り道に気を付けてね。振り向いたいけないからね」

皆はお礼をしてマスターと別れた。


 佐藤美優は怒った。

「もー! 一番逃げ足が速かったのは駿よ! 女性がいるのにエスコート失格よ」

「体育会系でも怖い物は怖いの! ましてや、本物を見た後だぜ」

 橋本七海は京野颯太を見た。

「颯太は、リムジンで帰らなくて良かったね。こんな思い出、出来なかったよ」

「こんな怖い思いはしたく無いよ。でも、いつ迄も笑える思い出になったよ」

 松本蓮はドキドキしていた。

「俺だって怖かったさ。メリーさんの後じゃなあ」

 鎌倉美月は松本蓮に腹を立てた

「蓮が悪いのよ、スマホを忘れて来るんだから、私もホント怖かったわ」


 海斗は梨紗を見た。梨紗は涙を流していた。

「梨紗、怖かったね」

「オマイガー! オマガー! オーマイガー!」

「あ~あ、連発しているよ! コレは相当怖かったんだ。流石、本場の思い込みは

違うね!」

「思い込みじゃ無いわよ! ホントに怖かったんだからね! 海斗のせいだ!」

「えー! 俺のせいなの!? マスターだよ、いや、蓮のせいかな」

皆は笑った。皆はハロウィンの楽しい思い出が、もう一つ増えた。

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