第68話 お開き

 海斗は説明をした。

「皆はラッキーだね、あの幽霊は伊勢佐木町の有名人なんだよ。夏休みに、たまたま美月と会って、喫茶「純」に付いて来たんだ。今日は楽しそうに見えたんだね。やっぱり霊が降りて来る日なんだね」

皆は固まっていた。


 松本蓮は冷静に質問をした。

「美月、あのお婆さんは悪い幽霊なのか?」

「良い幽霊になったみたい。邪念が感じられなかったわ」

 松本蓮は思いついた

「やっべー、参加費貰うの、忘れてた!」

皆は少しずつ、笑い出した。小野梨紗は否定した。

「もちろん、ハロウィンだもん、幽霊は参加費は無料だよ!」

皆は笑った。


 林莉子は思い返した

「海斗、あなた最後にまたね、って言ったでしょ。またねは無いわよね!」

海斗は頭を掻いた。

 京野颯太は驚いた。

「伏見には驚かされっぱなしだ、お前は仲間作りが上手だな」

皆はうなづいた。

「しかし、俺はお前の様にはならないぞ! だって幽霊の友達は要らないからな!」

 遠藤駿も続いた。

「そりゃあ、颯太の言う通りだな」

皆は笑った。ようやく場が和んだ。


 鎌倉美月は時計を見た

「びっくりするゲストが来たから長引いたけど、もう時間だから、そろそろ終わりにしようか」森幸乃は気にかけた。

「良いよ、貸し切りだから未だ良いよね、お父さん」

「ああ、いいよ、皆が良ければ」


 稲垣京香は申し分けなさそうな顔をした。

「済みません、私達門限があるので、ここで帰ります。今日はとっても楽しかったです」桜井メイも続けた。

「とても楽しかったです。横浜山手の皆さん、これからも宜しくお願いします」

海斗も他の女子を気遣った。

「じゃあ、俺たちも帰ろうか、まだ明日も学校だしね」


 皆は協力をして片付けを始めた。食器をまとめ、壁飾りを外した。最後に、この会を計画した小野梨紗にねぎらいを込めて皆で拍手をした。小野利は皆の笑顔が嬉しかった。名残惜しいが皆はマスターにお礼を伝え店を去った。


 海斗達は石川町駅に向かって歩いた。遠藤駿は不思議に思えた。

「颯太は珍しいね、今日はリムジン呼ばなかったの?」

「ああ、たまには友達と歩いてみるのも、良いと思ってさ」

 佐藤美優はニヤついた

「へ~、颯太変わったね、協調性が出て来たのね。森さんのせいかな、いや、伏見君の影響かな」

「伏見君の訳、あるか!」

皆は笑った。


「コツン、コツン、コツン、コツン……」


 海斗は物音に気付いた

「なんか後ろから、足跡が聞こえないか?」

皆も、後ろから聞こえる革靴の音が聞こえた。

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