第2話

十一時四十二分 AM

フランケンシュタイン家リビングにて――


「死にたくなかったら、二秒以内に答えな」

「せめて二分ぐらいなんのことか考える猶予をくだ……」

「タイムオーバー、さよなら変態バカ逝け」

「さい……って、逝けってなんぞや⁉」

お昼ご飯前の、ちょっとしたひと時。

リビングのソファーに寝っ転がりながら、『コスプレ大全集 八月号』を読んでいた。

いやー、堪んねぇなぁ、おい!

しかし、凄まじい殺気を感じて、辺りをキョロキョロしてみたらいたの。

軽く二十八人は殺ったんじゃないかなって思えるぐらいの形相をした、妹――ヴィクトリアがゆっくりとこちらに近づいてきたのだ。

いつもなら世の女子【おなご】がうらやむ情熱的なハグで答えるけど、今日は世界新記録を樹立する速さでとりあえず土下座をした。

こうして、今に至りまーす!

「お兄ちゃん答えてよぉ……嫌いになっちゃうよ?」

「いやー、洗濯物を全部洗っちゃってさ、代わりにメイド服をクローゼッどぎゃ!」

僕が次に目覚めたのは、その日の夜遅くだった。

悟っなわけではないんだけど、人間って、ぶっ飛ばされる瞬間はスローモーションになるんだなって。

だけど僕は見たんだ、メイド服を着た超プリチーな妹の姿を!

いい夢見させてもらったぜ、マイスイートハニー――


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