第14話

母さんは所々、頷きながら話を聞き、

それから少し真剣な顔して俺がびっくりして

腰を抜かすような発言をしてみせた。

いや、もう、何言っちゃってんの、そんな

急に、即決で、俺に相談もなく、

なんてこと...!って内容だった。


「事情は分かったわ...。それで、本当に突然なんだけどさ、あのさ...」


林ユーコの綺麗な右手を母さんはゴツゴツとした働き者の両手で掴み、


「良かったら、山吹家に養子にこない?

私ね、娘がほしいと思っていたけど、

子供は恵まれたけど。男の子ばっか三人で。

残念ながら女の子はできなくてさ、

随分と寂しい想いをしているのよ...!」


「たまに、パウンドケーキとかのお菓子作りとかをしてるとね、娘がいたら一緒に作るのになぁ!って思いながら小麦粉を振るったりしてるのよ...」


「か、母さん...!」


俺は一歩も二歩も後ずさった。


林ユーコは。


鳩が豆鉄砲をくらったような顔してた。


そりゃそーだろ。


突然そんな、我が家に来ない?なんて

言われたら、誰だってそうなるさ!



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