第12話


「シンジが...!滅茶苦茶可愛いギャ..あ、

可愛い子と手繋いでるし...!」


「ちょ、どうしたの!?

シンジ!?まさか、彼女できたの?

そんな訳ないわよねぇ??」


俺がモジモジしてると。


母さんが、

ふふーん、分かったわ、と言いたげに、

林さんに尋ねてた。


「何かの罰ゲームかなにかなのね?

ごめんなさいねぇ、モテないシンジと

手を繋がなきゃいけないなんて...!」


母さんは何気に酷い。


まぁ、でも。

とにかく、ギャルとインキャという組み合わせの不思議な事象を目撃したせいで、

真相を確かめたくてしょうがないの、と

言わんばかりの目だった。


「違いますよ!山吹くんのお母さん!

はじめまして、私、林ユーコって言います!

山吹くんの正真正銘の彼女です!」


「え...」


「屋上で全力で彼に助けてもらったんです。

それで、好きになってしまって...」


「え...」


「助け...?」


「はい!私、両親に要らない子扱いされてて。それで飛び降りようとしてたところを、

助けて貰いました...!」


「え...」


林ユーコは。


淡々と笑顔で喋っているが、

きっと内心は。


悲痛な想いだと思う。



「要らない子」

扱いされてて、


そんな笑って。


へらへらできるなんて。


変だよ。








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