第125話『ボスの正体』
アグニ達一行は、巨大な竜に乗り、砂漠を飛んでいました。そこで巨大な骸骨兵を目の当たりにします。錆びた曲剣を両手に持ち、のっそりと徘徊していまいた。
「一体何なんじゃ? あの超巨大な骸骨兵は・・・・50メートルはあるぞい? しかもレベル不明。恐ろしいのう・・・」
「この砂漠を牛耳っている魔王級の怪物さ、知性は無い。元々は双子の塔の守護者だったが、目的を失った今は、ただ徘徊しているだけだ」
驚くピエタに、リッヒが冷静に答えます。
「それにしても、一体なんで無明の破片が複数に効いてしまったんじゃろう・・・この破片、まだ何か秘密があるがかな?」
リョウマは未だに無明の破片の副作用の事を気にかけていました。
「こうなったら、残るメンバーだけで戦い抜きましょう。相手のレベルは約10万です。ライカールト殿がいないのは正直痛いですが、これだけのメンバーがそろれば、力で押し切れるはずですっ」
ペミスエとの戦いで自信をつけていたグラウスが、少し語気を強めて言いました。
「うむ、その心意気じゃぞっグラウスよ。ペミスエとの戦いで成長したようじゃな」
「はい。頑張りますっ」
グラウスは胸に手を置き、自らに言い聞かせます。
「して、どうしてくれようぞ。やはり、塔を一塔づつ登っていった方がよいものか・・・」
「いや、その必要はないよ、ピエタちゃん。僕の超越した
「うむ、そうじゃのう。しかし、使えるのは残り一回であろう? 確率は6分の1じゃぞ? 大丈夫なのかえ?」
「任せてよ、僕はけっこう引きが強いんだ」
そう言うと、勇者は超越した
「しまったっあいつは偽者だっ」
「くっ駄目だったか。やむ終えん。では残り5つの塔へ登り、本体を探し出すとするかのう」
しかしそのとき、勇者は、超越した
「(おかしい・・・今、他の塔の最上階にいるトガレフを見てるのに、効果が切れずに残り続けている? これはひょっとして・・相手の全てを見なければ使用した、という認識にならないのか?)」
「よし、まずはあの塔からいくぞい」
「ちょっとまって、ピエタちゃん。まだ超越した
「何? どういうことじゃ?」
「詳しくは解らないけど、まだ一回消費してないことになってるんだ。名前だけなら、何度でも見ることが出来るっ」
「・・・・一体どういうことですの?」
アグニは勇者の常軌を逸した能力に、驚きを隠しきれない様子でした。
「うむ。よくわからんが、では引き続き、竜の上から各塔の最上階にいるトガレフを見てくれるか、勇者よ。少しでも情報が欲しい」
「了解っ」
そして勇者は竜の頭に腰を下ろし、最上階部分が半透明な壁になっている塔にいるトガレフを大きめな瞳で覗いていきました。
そしてその内の一つの塔の最上階に、トガレフ・マクドリア、と名前が表記されたトガレフを発見することが出来たのです。
「見つけたっあいつが本体だっ」
「真か勇者よっして、情報は?」
「あいつ・・・本名は、トガレフ・マクドリア。神の
「マクドリアじゃと? それは本当か??」
「うん。星空の星座みたいに情報が散らばって見えるんだけど、頭の上の方に、確かにそう表示されてるよ。」
「・・・・マクドリア、マクドリアじゃと・・・」
「ピエタ様、その者、あの滅びの記録を封印しようとした大賢者様と、全く同じ名前ですね」
風に煽られていたグラウスが、顔を腕で覆いながら、旅立って間もない頃にピエタから聞いた滅びの記録の伝承を思い出していました。
「うむ、同じ名前じゃ。くっ漣がいれば、寿命を見てもらえたのじゃがな・・・・」
「うだうだ言っててもしょうがないっマガゾの危機だ、戦うぜよっ」
柔和そうで愛くるしい外見と反比例して血の気が多いリョウマは、力強い言葉でいつものように自らを鼓舞しています。
「やはり神の
グラウスは神妙な面持ちで、そう呟きました。
「うむう・・・・果たしてそうなのかのう? 何やら嫌な予感がするぞい。して、勇者よ、特殊能力の類は?」
「超邪気術、悪霊飛ばし、魔道砲、微予言、過去神界視、悪意の波動、絶望の斧、触手、最後は・・・神器破壊?だってさ」
「超邪気術、か・・・やはりジャスタールの賢者であることは、間違いなさそうじゃな」
ピエタは唇を噛み締めました。まさか相手がジャスタールの賢者、しかも滅びの記録の封印に関わった大賢者、トガレフ・マクドリア本人の可能性があることに、畏怖の念を覚えていました。もしも本人であった場合、この戦いは自らの想定を超えた死闘になるかもしれない、とピエタは思いを巡らせていたのです。
「やっぱ、賢者か・・・凄い魔法を沢山使ってきそうな気がする。僕、やっぱり逃げてもいい?」
「ならんぞっして勇者よ、神器破壊とは、どんな能力じゃ?」
「そんなこと、僕が知りたいよっとにかく、僕はトガレフに霊体特攻のレイガリオンを撃ちまくるよっ霊にも効くし、それなら僕の寿命も縮まないからね」
「うむ、頼んだぞ。勇者よっして特殊体質は??」
「特殊体質は、二つだけだよ。悪霊神速再生、アブノーマル・・・だってさ。何だろう、これ。何だか嫌な予感がする・・・」
「ふむう・・・何やら良くわからんが、とてつもなく、不穏じゃな」
「待ってくださいピエタ様っあいつ、全身を黒い影で覆いつくしています。全て、悪霊の類ですっ」
竜の背に乗っているグラウスは、塔の最上階にいるトガレフを指差し、叫びました。彼の瞳には数多の怨霊が映り込んでいました。トガレフの体を包み込むだけでは飽き足らず、塔の周囲も徘徊していたのです。
「何じゃと? 数は??」
「多すぎて、とても数え切れませんっ恐らく数万以上は憑依していますっ奴の本体は、あの霊の集合体に包み込まれているのではないですか?」
「ということは、まずはその悪霊剥がし、からの戦闘になりそうじゃのう」
「ウチが超秘霊薬をもっとるきに。全員、今のうちに飲んでおこうぜよ」
「うむ、そうしよう」
こうして、一同はグラウスの作った超秘霊薬を飲み干しました。が、これから始まる大きな戦いを前に、聖女ハインは極限の緊張状態で、まともに喋る事もできず、未だに体を小刻みに震わせている状態です。
「ハイン、お前は無理して戦わなくていい。俺たちの援護に専念するんだ、いいな」
戦闘が不得手な聖女の動揺を察しているリッヒが、ハインの肩を再び優しく抱き、声をかけます。
「うん、わかった。ありがとうリッヒ」
「・・・では、いくとするかのう。この戦、必ず勝利するぞ!! 皆の者、突撃じゃっ」
そしてピエタの激の後、竜は本体のいる塔の近くに降りたったのでした。
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