第113話『トガレフ攻略メンバー選定会議』
さっそくレジスタンスアジトの会議室に集まった一同は、トガレフを討ち取るための攻略メンバーを分けることにしました。
パーティーの振り分けはピエタ主導で行われ、人選も順調に決まっていきます。
「片方はワシが、もう片方のパーティーはグラウス、お主が指揮を取るのじゃぞ」
「わかりました、ピエタ様」
「できれば僕はハーレムが・・・」
そう言おうとしたルクレを、ピエタは憤怒の篭った表情で睨み付けました。
「ああ、大丈夫、大丈夫。非常事態だもん。そんなこと言ってられないもんね」
その結果、マガゾに6塔ある断罪者の塔の何れかの頂上にいる本物を見つけ出すトガレフ攻略メンバーが固まりました。
結果は以下です。
グラウス・アーサー・アルテナ
アグニ・シャマナ
リョウマ・サイタニ
漣・エローレ・雪定
勇者ルクレティオ
マテウス
ピエタ・マリアッティ
ペロッティ・オーガスタ
ハイン・ブッフェ
リッヒ・シュワルツァ
ライカールト
「できるだけ戦力に差異が生じないように人選したつもりじゃが、これで異論はないかえ? 漣と勇者だけが未知数じゃが・・・」
ピエタは一同に確認を求めます。
「かまいませんわ。このクソ魔族とまた一緒なのが気に入りませんけどっ」
アグニは少々ふて腐れた調子でした。そして漣に怨恨を思わせる視線を向けたです。漣は黙してその眼差しを受け入れました
「問題ありません。しかしもし本物を見つけた場合、どうやって別のパーティーに知らせるのですか?」
グラウスの投げかけた疑問に答えたのはリョウマでした。
「それならこいつがある」
リョウマがカバンから取り出してきたのは、口径の大きな短銃でした。
「最近パパイヤンで開発された、信号弾を撃つ銃ぜよ。3丁もっとる。本物を見つけたら、こいつを天に向かって撃ち込み、別パーティーに知らせればいいぜよ」
「なるほど、銃というもののことはよくわからないけど、便利な品物だね」
信号弾の入った短銃を、グラウスは興味深げに一通り眺めると、懐にしまい込みました。
そしてリョウマはピエタにも銃を渡しました。
アグニはポツリと「ゼント様・・・」と呟き、声を濡らしています。それを聞いた一同の表情も微妙に暗くなりました。
「皆の者っ今は悲しんでいる場合ではないそ。まずは明日の戦いに集中っ今晩はゆっくり休むのじゃぞ」
ピエタの飛ばした軽い激に我に返ったアグニ以外の仲間達は賛成し、その日は休息を取ることにしました。
「トガレフが純粋な魔族じゃないと嬉しいな。ドラガリオンを使わなくて済みそうだからね・・・」
ルクレは一人切なげな笑みを浮かべ、部屋を後にしていきました。
うっすらと涙を浮かべるアグニの肩をハインが抱きます。皆、ゼントの死は、あえて考えないようにしていました。
しかしリョウマだけは、彼は生きていると信じていたのです。
一方、その頃、断罪者の塔の最上階にいたトガレフは、リッヒの裏切りを知りました。
「リッヒの奴・・・余を裏切ったか。まあいい。この国は、あのお方のおわす死の国。思いどおりにはさせんぞ。いっそのこと余の力でマガゾ人達を絶滅させ、この国を、悪霊と怪物の聖地として変えてやろうではないか。はっはっはっ」
そしてトガレフはゆっくりと右手を挙げ、大多数の悪霊を天高く放出し始めました。
「さあ行け、余の命と紐付きし配下の悪霊達よ。この国にもはや人間は要らぬ。一人残らず、皆殺しにしてしまえっ」
闇世の中、トガレフの不気味な笑い声だけが塔の最上階で響き渡っていました。
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