第一部第一章、概略&あとがき



 自らの運命を変えるため、壮大なる冒険の旅に出た悪役令嬢のアグニは、最初に旅支度を整えるため、ミネルバ州に出来たという新興都市パパイヤンに向かう事にする。その馬車の中で大賢者ピエタから、彼女の秘密や、今から3000年前に起こった生物大転移と、世界を変えた一冊の本、滅びの記録について聞くことになる。


そしてアグニは運命に導かれるように、道先でロリータの女商人リョウマ・サイタニと、その用心棒で金の亡者であるが圧倒的な強さと美しい容貌を持つ、剣士ゼント・クニヌシと出会う。二人とも、最初の目的地パパイヤンまで行く予定だった為、6人はパパイヤンに向けて旅をする。その過程で、巨大なべヒーモスに出会う。べヒーモスの肝は生きる宝石と呼ばれ高値で取引されるというリョウマの話から、グラウスとペロッティが戦う事になるが、苦戦する。しかし、そのときグラウスの体に異変が起き、彼は自らが使えるはずのない神魔法、イグナ・エル・フラーレをぶっ放す。その後も旅を続けていたアグニ達は、自らが手に入れたべヒーモスの肝を狙ってポンカツ旅団という盗賊団に襲われ、リョウマが攫われてしまうが、その余りの弱さに一同は辟易し、戦意を喪失する。実はポンカツ旅団達は、かつてアグニの家のお付の優秀な大工達だった。幼いアグニにハードなSMプレイをされ、耐え切れず、モントーヤ邸を抜け出してしまったのである。


 旅を続ける中、ゼントとピエタはとある肌の白い少年、ビコナ・コネホに助けを求められ、応じるが、少年の父親、スクナ・コネホは元魔族の幹部、魔人衆の一人で純粋な魔族だった。ッゼントとピエタは戦闘を余儀なくされ、結果的に殺害する事になり、少年の望みを叶えられなかった。


 時を前後して、魔族の長、魔人ザンスカールは、自らたちが生み出した魔王理(ことわり)を全滅させた勇者ルクレティオとその仲間、漣・エローレ・雪定がパパイヤンに潜伏していることを突き止め、部下であるザルエラ・バインに捕らえてくるように指示をする。しかし、実際に行ったのはザルエラの妻、ペミスエであった。二人にはスナイデル・バインという男の子供がいるが、彼は二人の本当の子供ではない。スナイデルの本当の両親は、魔族の長ザンスカール、とかつて国産みを行い、その後命を落とした神、ニニギノマコトである。二人にはもう一人、スナイデルの兄にあたる男子がいるが、彼は、弱い、という理由でとある地に捨てられてしまった。


 パパイヤンにやってきたアグニ達は、そこで街の護衛を担当しているミヨシシンゾウと出会い、彼の口から、リョウマが世界一の富裕国、サラバナの第三公女、スセリ・サラバナであることを知る。


 そして一同はパパイヤンの街で今後の冒険の方向性を考えた。アグニとグラウスは、グラウスの服を新調するために街へ買い物に行くが、そこでアグニは自らの家庭教師で、元武の国ラズルシャーチの元王室近衛軍総隊長のライカールトと会う。その後、アグニ、リョウマ、ピエタ、ゼントの四人は、最近街に出来たという戦士ギルドに向かう事に。その戦士ギルドのマスターをしていた漣・エローレ・雪定は、魔族のハーフの超美人であり、魔族嫌いのアグニは初対面から、激しい嫉妬心と不快感を露にする。


 漣は、自らが異世界からやってきたこと、勇者ルクレティオと共に、かつてこの中央世界の人々に恐怖を植えつけていた大魔王理を倒したことを告げる。そんな彼女の特殊な力を持っていた。それは人の寿命が見える、というもの。話の途中、アグニの残された寿命を見た漣は驚き、心配するが、アグニは彼女を拒絶する。大賢者ピエタは漣に自分たちの旅の目的を話し、回復専門の術士がいれば紹介して欲しいと頼むが、戦士ギルドにはそのような人材はいなかった。


 勇者が回復が得意であることを知ったアグニ達は、彼に会いに行く事を考え、彼のいる場所に行くが、そこはカジノだった。勇者ルクレティオは魔族の長、ザンスカールに死の呪いをかけられ、人生に絶望し、カジノに興じていたのである。アグニ、グラウス、リョウマが彼と会い、話をしようとするが、彼は全く応じようとしない状態であった。一方パパイヤンにいる漣と勇者ルクレティオを捕らえにきていた魔人衆の幹部の美人、ペミスエは、スクナの死を知り動揺する。更に街の中に世界中の苗木が植えられていたことを知り、怒りを露にし、そしてカジノのある地区で住民達を皆殺しにしようと実行に移す。


 事態をいち早く察知したリョウマは、ペミスエと交戦する。遅れて、アグニ、グラウス、ペロッティも参戦。窮地を脱したものの、ペミスエは街を滅ぼすと宣言し、去っていく。そしてパパイヤンの街の空き土地に巨大な城を築き、配下の者達を呼び寄せ始めた。


 パパイヤンを守るため、ペミスエとの戦いを余儀なくされたアグニのところに、彼女の家庭教師である武人、ライカールトがやってくる。事態を重く見たライカールトは、自らの同士である通称モントーヤトリデンテの二人、マテウスとファルガーも呼び寄せ、臨戦体勢を取る。大賢者ピエタの判断で、一同はペミスエを討ち取るグループと、魔族の増援を退ける部隊の二手に分かれることになった。


 一方、ゼント・クニヌシは、人生に絶望している勇者ルクレティオに活を入れるため、彼に会いに行き、そして自らの辛い過去を勇者に語る。それを聞いた勇者の心に、僅かに正義感が目覚め、更にペミスエがパパイヤンにやってきていることを知り、戦う事を決意する。そしてアグニ、グラウス、ペロッティ、リョウマ、漣、遅れてやってきた勇者ルクレティオの6人はミヨシの手引きでペミスエのいる城内への潜入を試みて、ペミスエと決戦。戦いが死闘となるが、そこでアグニが悪役令嬢化し、ペミスエに止めを刺す。 


 全てが終わったかに見えたその直後、魔族の政治組織、魔人衆の最高幹部であり、ペミスエの夫であるザルエラ・バインが姿を現し、消耗しきっていたアグニ達を捕らえ、更にアグニをかばって一人戦いを挑んだペロッティに、不治の病に陥る病原菌を植え込む。


 自らの妻が死んだことに激昂するザルエラは、更なる増援部隊を配備し、街を滅ぼそうと画策。そしてアグニ達を十字架に縛りつけ、自らの主張を語る。それを聞いたアグニは、ザルエラに反発。アグニとザルエラとの間に遺恨が生まれてしまう。

 ザルエラの登場を知ったモントーヤトリデンテ達は、アグニ達を助けるため、ゼントの協力を仰ぐが、彼は金を払わないなら協力しない、と突っぱねる。正義のために戦えとライカールトに叱責されるが、正義という言葉が嫌いなゼントはそれを固辞。結局モントーヤトリデンテ達はゼントに金を払い、アグニ救出作戦に向かう。

 そしてパパイヤンの無人の草原地帯では、既に戦闘状態になっていた。ゼントは金を貰った分の働きをしてみせて、モントーヤトリデンテを驚愕させる。そしてモントーヤトリデンテの三人はアグニ達を助けるために、敵陣に切り込み、ザルエラと交戦、アグニを救いだすことに成功したものの、ザルエラは取り逃がしてしまう。

 こうして、パパイヤンの魔族襲撃事件は一応の決着を見せるが、ペロッティが地獄病という不治の病に罹ってしまい、もうすぐ命を落とす状態に陥る。その事態を悲観するピエタとアグニ達に、ゼントは死の国と呼ばれるマガゾに、どんな病気や怪我も治せる聖女がいることを話す。漣と勇者は互いに話し合い、アグニ達の旅に同行することを決める。そしてアグニ達はペロッティを治すため、リョウマが手に入れていた魔法の絨毯を使い、死の国マガゾへと向かうのであった。



あとがき


どうも、本作をお読みいただいている皆さんも、このあらすじで物語を初めて知ったという方も、ご閲覧いただきありがとうございます。


今作は古事記が原作ということもありまして、大河ドラマ的な演出を用い、話のスケール感が大きく、当然のことながら、出てくる登場人物達も非常に多いです。


この物語のコンセプトが「和洋折衷ファンタジー」なので、西洋風の世界観だけど、どこか和風感も感じられるような舞台設定になっています。古事記に多少詳しい方は、あの神様は出てくるのか? あの神が出てきてるのに、あの神が登場しないのはおかしい!! とか、色々気になることかと思われますが、出てくる日本神話の神達は既に決まっており、多分、第一部を読んで頂き、「なんであいつがいるのに、あいつが出てこないんだ」と感じられた神に関しては、非常に衝撃的な形で登場する予定なので、そのときをお楽しみにしていただけると嬉しいです。


ただ、大河ドラマ的な作品のため、読者様の中には多すぎる登場人物を覚えられない方や、出てきている人物を忘れてしまうなど、そのような事が多々あるかと思われます。


作者である私自身もそのことは考慮して、今作では、よほどのことがない限り、登場人物達を短いエピソード内で一同に介させないように配慮して、1エピソードを作っています。


今後の物語の筋立ても、原則としては沢山いるメインキャラクター達は常にパーティー編成され、別行動となり、本当の意味でアグニと全ての仲間達が集い、戦うことになるのは、ラスボス戦のみとなっています。  


一応、第一部第一章の中で、物語の中核に絡む主要人物達は、ある程度登場させておきました。実際には登場していませんが、名前だけは出てきてる人もいます。この後第二章で更に中核となる人物が多少出てくる予定です。

出番は極端に少なかったですが、クシナダ姫も無事に登場させることができました。彼女の人柄や物語の中での役回りは、ラズルシャーチについてからのお楽しみ、ということで宜しくお願い致します。中々、マニアックな性癖を持つ男性?の心に刺さるような人物像になっていると思いますので、登場する際は暖かく迎えてあげて下さい。


この後、第一部は第二章となり、第一章以上に激しく、熱い戦いが繰り広げられる予定です。


第二章のコンセプトを一言で言うなら、「命をかけた総力戦」です。


一体どんな物語になっているのか、この概略を読んでほんの少しでも興味を持たれた方は、第二章からでもお読みいただけると、作者冥利につきますので、何卒よろしくお願い致します。


もしご閲覧頂き、面白いと感じていただけたら、いいね、や、コメント、星評価、レビューなどを頂けると執筆する上でのモチベーションアップに繋がりますので、宜しくお願い致します。


ということで、長くなりましたが、第二章もお楽しみに!

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