第8話 ビビンバ君と少年団

のりまき君の小学校では毎年1回、生徒による音楽祭が開かれます。

今年は10月に開かれることになりました。

1年生から6年生までのそれぞれひとクラスから、一人でもグループでもいいですが、代表を選んでみんなの前で歌って踊ったり、楽器を演奏したりします。そして一番よかった人かグループが優勝します。        

のりまき君のクラスでも誰が何をするのか決めなければなりません。

先生が「みんさん、今年は何をしますか。意見のある人は言ってください。」と言いました。 

誰かが小声で、「みんなでリコーダーの演奏。」と言いました。

バーガー君が「そんなのつまんない。」

のりまき君も「なんかもっとカッコいいのがいいよ。」と言いました。

するといなりさんが「ビビンバ君を中心にグループを作ったら?」

わさびさんが「ヒップホップグループは?」       

ビビンバ君はすごくハンサムで、女の子からカッコいいと言われています。

それにヒップホップダンスを習っていてとても上手です。

他の女の子達も口々に「それはいい考えね。」と賛成しました。

先生が「ビビンバ君、やってみますか。」と聞きました。

ビビンバ君は「はい、やります。」と元気に答えました。

みんなから拍手がわきおこりました。

そこでビビンバ君をリーダーに、クラスでヒップホップグループを作ることになりました。このグループに入るには歌って踊ってできなければなりません。

天津飯君は女の子にもてたいので、グループに入りたいと思いましたが、ダンスなど一度も踊ったことがありません。

レーメン君はもともと引っ込みじあんなのでやりたいとも思いません。

バーガー君は自分がリーダーじゃないからメンバーにはなりたくないみたいです。

のりまき君はメンバーになりたいとちょっと思いましたが、塾に通っているので   放課後、学校に残って歌とダンスの練習をすることができません。

結局ビビンバ君を中心に、ブルコギ君など7人でヒップホップグループを作りました。そしてプーTSという名前をつけました。

メンバーたちはみんなイケメンで、歌もダンスも上手です。

クラスのみんなは他のクラスや大きい学年よりも、ぜったいプーTSが一番だと思いました。

いなりさんやわさびさんはファンクラブを作りました。

ファンクラブのみんなはプーTSが音楽祭で一番になってほしくてたまりません。

音楽祭の日がやってきました。

講堂の前の方の列には校長先生をはじめ、先生たちが座っています。

全校生徒がその後ろに座っています。

のりまき君やバーガー君も座ってプーTSの出番をまだかまだかと待っています。

いなりさんやわさびさんなどファンクラブのみんなはプーTSと書いた紙をかかげています。

いよいよプーTSの出番です。

司会の6年生のお姉さんが「次は2年2組のプーTSです、どうぞ。」と言いました。

のりまき君もバーガー君も天津飯君も、もちろんレーメン君も力いっぱい拍手しています。

ビビンバ君たちがいっせいに出てきました。その瞬間、先生たちの拍手が止まりました。先生の顔がこわばっています。 

どうしたのでしょうか。のりまき君やみんなにはわけがわかりません。       実はビビンバ君たちのTシャツの胸に大きなきのこの絵がついていたのです。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る