第2章 新たな仲間
第1話 寝起きは弱いって決まってる
夢をみた気がする。
何かと戦って死にかけるんだけど、なんやかんやあって最後は世界を救う感じの。
苦しみを負って得た達成感はすぐに虚無へと葬り去られる。変な疲れだけが後味として残るが、体調に支障はない。あのあと素直に寝ておいて良かった。しかし……
「……なんで間違いが起こってないんだ」
俺は身体を起こし、冗談めかして呟く。いや期待なんてしてなかったし、むしろ俺から拒否したし、これで良かったと思ってるし。なにやってんだ昨日の俺!
「ぅうん…………? あ……おはよ……」
「おはようございます!?」
「朝から元気だねぇ……ふぁ」
「聞いてました?」
「なに……聞かれちゃまずいことでも言ったの?」
「いいえなんにも!」
雑なごまかし方だったが、それ以上追及はされなかった。
彼女の寝ぼけた顔が見れただけ、よしとしよう。
* * *
さて、新たな一日が始まった。
――結論からいうと、この一日はほぼ収穫がなかったと言える。
というのも、昨日の探索した以上に新たな解決の糸口を見つけられなかったからだ。開けることのできた部屋も、モール事務所と休憩室のふたつのみ。あとはトイレと、シャッターが下りて行き止まりとなった通路だけだ。
昨日は散々出てきた謎も、いっさい見つからなかった。
「何が、狙いなんだ……?」
あっという間に時は過ぎ、おそらく夜も更けてしまった。
おそらくというのも、いま自分たちは外の空模様を確認できないからだ。スマホや腕時計のみが時間感覚の頼り。閉鎖された空間の居心地の悪さを思い知らされるようだった。
食料は今のところ調達できる。問題は衣類だろうか。さすがに従業員用休憩室に併設されているコンビニには下着類などの商品は用意されていなかった。本来必要があれば、売り場で買えるからな。
だからまあ、俺はひとまずトイレで洗って、ハンドドライヤーで乾かしてなんとかやってたりする。頭は水浴びできるが、身体は濡れたタオルで拭くまでにとどめた。……向こうのことには言及するまいが、同じような状況だろう。
不便ままならない。
前回のように謎が出てきて、正解するごとに行動範囲を増やせるのであればいいのだが……。
――そして、翌日。閉じ込められて3日目。
昨日まではなかったところに、例の禍々しい装飾のボードが飾られていた。
「……突然、出てきやがったな」
「樫村くん……」
「任せてください、これは簡単です」
通路を行き塞いでいるシャッターの真ん中に、それは掛けられていた。
『
D = 24
H = 60
M = 60
Y = ?
?にはいる数字を答えよ
』
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