第12話 陰謀

それから数分が経つ頃、ホールの幕が上がって、当主である驟雨和繁と、優傘の義父である驟雨幸望が舞台に上がって来た。


二人は、貴族らしい煌びやかなマントを羽織っており、腰には拳銃、そして日本帝国貴族の印である刀を差している。

それは、力と権力を示す貴族の正装であった。


和繁は招待客を見渡しながらこう言った、


「今日を持って我が家系が貴族復活を成し遂げ五百年が経つ、今日はそんな歴史に残るひ日である。」


そう言ったあと、大きく息を吸いこみ力強い声でこう続けた。


「そんな今日は、今までの我が祖先たちの苦痛と苦労を慰められるような特別な日となろう‼︎」


和繁はグラスを挙げ、周りに呼びかけた。


「乾杯」


「「「乾杯!」」」


皆がグラスを挙げてそれに応え、会が始まった。


一気に騒がしくなり、笑い声が広がるホールを冷徹な眼差しで見渡しながら、和繁は幸望に尋ねた。


「幸望、今日はあの忌み子はいるのか?」


「はい、父上。今日は連れて来ました。し、しかし、本当に殺すので?」


「何の問題がある?あの忌み子も、家のために神に捧げられるとなれば泣いて喜ぶだろうよ。」


和繫はそんなことを言いながらも、何の光も宿ってない恐ろしい目で幸望をみて、恐ろしい提案をした。


「それかお前が代わりになりたいのか?まぁ足しにもならんと思うが。」


「い、いえ。ちゃんと殺す段取りも立てております。最後の演目として祭壇の前で火炙りに‥」


「そうか。それならば良い。」


それだけ言うと和繁は椅子に座り、その時間が来るまで優雅にワインを飲んで待ち始めた。


「あぁ、やっと念願の供物が捧げられる。これで我が家も安泰だ。」


そう言って鋭く目を光らせて優傘を眺めながら‥‥

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