第11話 フラグ
ホールを朧と一緒に歩く優傘からは先ほどまでの嫌な気持ちはさっぱり消えさっていた。
二人は久し振りにあった事で、寄り添って歩きながら、時間を取り戻すかのように談笑していた。
「それにしても優傘ちゃんまた美人になったわねぇ〜、その真っ赤なドレスお似合いよ」
「ありがと!でも朧ねぇさんこそその白いドレスとても似合ってるわよ!」
「そう?優傘ちゃんに言われると嬉しいわ!でもそのドレス少し妖艶過ぎない?変な虫が寄って来たらどうしてくれましょう?」
「大丈夫よ、朧ねぇさんも知ってるでしょ?私普通に強いから!」
「まぁねえ、優傘ちゃんが強いのは知っててもお姉ちゃんとしては心配なのよ」
そう、幼い頃本の虫だった優傘だが、どう言う神の気まぐれか、今は大の大人10人に襲われても撃退できるくらいには強い。
その理由は朧に誘われ、御雷家の天雷道を学び始めた事だった。
周りの考えをよそに優傘は、教えをどんどん吸収してすくすくと成長した。
なんと今では御雷家でトップ2の強さを誇り、御雷家からは武に関しては認められている。
「まさかあんなに本の虫だった優傘ちゃんが、こんなに強くなっちゃうなんて夢にも思わなかったわよ。 せっかく手取り足取り教えてあげようと思ってたのに〜、結局逆に置いてかれちゃったし」
「あはは‥それはごめんね?」
すると、気になっていたのかふと朧が優傘に尋ねた。
「さっきから気になっていたんだけど、その腕輪どうしたの?そんなの持ってたかしら?」
と目立つ金の腕輪のことを優傘に質問した。
「ああ、これね、イライラして壁殴ったら金庫が出て来て、その中に入ってたのよ。」
と軽く答える優傘に朧は少し唖然とし、
「これね、じゃないわよ…壁は危ないから不用意に触るなって言われてたでしょう?」
と少し注意した。
まさか優傘は朧に注意されるとは思っておらず、あたふたとしたが、
「え、え〜と、ごめんなさい!」
と言いすぐに謝った。小さい頃から面倒見てもらっている優傘は朧に弱いのだ。
また逆に朧も優傘に甘く、
「次から気をつけてね?それで怪我とかはなかったの?」
「うん、大丈夫」
それだけで済まし、けがの有無を聞くと安堵の息を吐いた。
「まぁ怪我なくてよかったわ、それにしても優傘ちゃんに似合うわね?」
「でしょ!朧ねぇさんもそう思うよね!この腕輪見つけた時からなんか着けなきゃって感じたのよ」
優傘は朧に褒められたのが嬉しくてこの腕輪を見た時に感じたことを伝えた。
すると悪い顔をした朧は、
「でも気をつけてね?この屋敷は古いから呪いがかかった物とかあるかもよ?」
と囁いた。
そう、優傘は怖いものは苦手なのだ。
小さい頃は夜が怖くて朧に毎晩電話をかけるくらいには。
それを知りながら、優傘をいじって遊んでいる朧はすこしSかもしれない。
「ねぇ〜、そういうのやめてって。怖くなっちゃうわ。」
「まぁ、もしなんかあっても私が優傘ちゃんのこと守るから大丈夫よ」
「え〜、普通逆じゃない?」
そんなふうにじゃれ合いながら、会が始まるまでホールにある大きな祭壇のまえで、二人は待っていた。
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