第10話 回想 心に定めた誓い
数十分経ち、ようやく泣き止んだ優傘は恥ずかしさから顔を真っ赤に染めて俯いていた。
「ほ、本当に、ごめんなさい。」
「ううん、気にしなくていいよ!だけどすんごい長い間泣いてたねぇ〜」
「うっ…で、でも名前も知らない人に抱きついちゃって‥」
「いいよ、いいよ。あっ、でも一つしなきゃ行けないこと忘れてたね?」
優傘は朧はやはり怒ってるのだと思ってビクンと体を震わせ身構えた。
「ほ、本当に、ごめ」
「私は御雷 朧(おらい おぼろ)って言うのお姉ちゃんって呼んでね!これからよろしく、優傘ちゃん!」
怒られるのだと思ってた優傘は、いきなり自己紹介され少し呆然とした。
それから、自分の名前を相手が知ってることに気づく。
「えっ、何で私の名前知ってるの?」
そう不思議そうに朧に問いかける優傘に対して朧は微笑んだ。
「だってここくる前に母様から、もう一人優傘って言う子がいるって聞いたもん!だから友達になろうと思って!」
そう、朧は最初から優傘と友達になりにここに来たのだった。
ただ優傘の居場所が分からず聞き回りながらだったため、時間がたってしまったが…
「えっ、で、でも、私、本当の子供じゃないから。一緒にいるとみんなから怒られるよ!」
そう言って自分に友達なんてできないと、諦めている優傘だったが、
「ん〜難しいことわかんないけど、私が友達になりたいからいいんだよ!」
と、朧は優傘の心配を吹き飛ばすような言葉を放った。
その言葉に優傘は救われた。
怒られるとわかっているのに、自分がなりたいから友達になる、そんな言葉を言われたら誰でもうれしいだろう。
そして優傘はまた少し泣いてしまった。
でも今度の涙は嬉しくて、嬉しくて溢れた涙だった。
「えっ、また泣いちゃうの!まだハグが足りなかったかな?」
そうずれた事を言って笑いながら、また朧はハグしようとしてくる。
そんな朧に優傘はこんどはこちらから抱きついて、満面の笑みで、
「ううん、大丈夫だよ。朧お姉ちゃん!」
と言葉を発した。
今度は逆に朧が停止する番だった。
その笑顔は、まだ、幼い同性の朧をくらりとさせるくらい、強力で何かを感じさせた。
朧は優傘をぎゅっと抱きしめ、この子は私が守ろうと心から誓った。まだ、9つの時である。
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