第6話 朧ねぇさん

『いけない、いけない。どうして我慢できなかったのかしら?いつものことなのに。』


優傘はそう少し疑問に思いながらも、逃げていった3人を見てとても清々としていた。

『反論すれば、すぐあんな逃げるなんて、なんて惨めなのかしら。もっと早めに言い返しておけば良かったわ』


次にまた突っかかってきたら何を言ってやろうと、優傘は少しわくわくしながら考えていた。

すると、


「珍しいわね優傘ちゃん、あの人たちに言い返すなんて…大丈夫なの?」


と優傘に横から話しかけてきた人物がいた。

その声に優傘はすぐに反応して、


「朧ねぇさん!やっぱり来てたの!」


と、心の底から嬉しそうに笑って振り向き、年上の親戚である御雷朧に尋ねた。

すると朧は微笑みながら、


「それはそうよ。さすがに新年会は出ないと怒られちゃうわ。それに優傘ちゃんに会いたいしね?」


と優しく微笑んで返した。

朧は驟雨家の親族である御雷家の一人娘であり、優傘より年齢は一つ上だ。

その朧を優傘はねえさんと呼んで慕っているのだ。

朧もまた優傘を妹として愛しているため相思相愛とも言える。


朧は親戚の中では唯一の理解者であり、両親を亡くし引き取られてきた不安定な時から優傘を支えてくれている。


そんな朧を優傘は心の底から信頼してるのだ。

朧の前では優傘も仮面を被らず、本心で甘えに行くため、百合百合しい雰囲気が出ているが…


朧と優傘の出会いは、優傘が驟雨本家に引き取られてまだ数週間の時まで遡らなければならない。

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