第5話 反論
「あら、庶子も来たの?別に来なくても何も変わりないのにご苦労な事で」
「ねぇさん、かわいそうよ。言わなくてもそんな事自分でもわかってるはずよ」
「そう、彩月ねえ、夢月ねえの言う通り、自分の存在意義を自覚して黙っていて欲しい」
優傘はつい顔を顰めてしまうのを抑え込み、
「おはようございます。お姉様方。」
とドレスの裾を持ってきれいな挨拶をした。
そう、綺麗なドレスを着て招待客のめを引いている優傘が面白くなく、皆の前で恥をかかせようと朝から突っかかってきたのだ。
「ねぇ、あなただけそんな格好して恥ずかしくないの?その腕輪だって自分では似合ってると思ってるんでしょ?あなたには宝の持ち腐れなんじゃない?」
「そうよ、そんなゴテゴテした物よくつけれるわね」
と、優傘の格好を貶めてきた。
『自分たちに言い返せない優傘を見て、優越に浸りたいのだろう。』
優傘はそう自分を言い聞かせ、心を落ち着かせた。
しかしそんないつもなら聞き流せる、よくある戯言の一つが何故かどうしても今日の優傘には聞き流せなかった。
格好を馬鹿にされることなんて日常茶飯事であるのに…
まるで自分以外が怒っているかのようだった。
「それは言い過ぎなのではありませんか?」
いつもなら反論しない優傘が鋭い視線と共に言い返すと、3人はたじろいだ。
大方言い返されると思っておらず優傘の視線にビビったのだろう。
「な、なによ。そんな言い返すなんてはしたない。お父様に言いつけてやりますわ」
「そんなチヤホヤされてるからって気持ちが大きくなるって馬鹿みたい。ねぇさん、譜月行きましょう?」
3人はみっともなく捨て台詞を残して向こうへ逃げていった。
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