第2話 発見

 普段は使わないこの馬鹿みたいに大きい洋館は、今日のような客を呼ぶ時しか使わない。

 デザインも古くさく、廊下は薄暗くて不気味だ。それに加えて私の部屋はわざわざ廊下の突き当たりの角にあって、狭いのだ。


 どうせ私を馬鹿にして惨めな気持ちにさせるために姉たちが仕組んだんだと思うとうんざりする。


 姉たちは私が美人だからって妬んでいる。それでいて本家の血筋だから立場は私より上だ。

 それで今回のようなせせこましい嫌がらせを度々仕掛けて来る。それによって困ってたりするとメイド達は裏で笑って来るのだ。


 初めてそれを目にした時は辛くて泣いたものよ。

 まぁそれも慣れちゃったけどね。


 そんな考え事をしていたら部屋についた。


「お嬢様、部屋につきました。明日は大事なご挨拶があるのですから早めに寝るように」


「わかってるわよ」


「当主様にお会いになるのですから、今日のようなミスをしないで下さい。ただでさえあなたは庶子で覚えが悪いのですから」


 それだけ言って一方的に悪態をつくとメイドは扉を閉めた。


「あぁーーもう本当にイラつくわねあのメイド、何が覚えが悪いですよ、どうせ政略結婚にしか用はないのに」


 私はメイドがいなくなるとすぐに不満をぶちまけた。メイドたちは良家の娘たちなので庶子の私はきっと妬ましいのだと思う。

 だからこうネチネチと小言を言ったり、細かい事をちくったりするのだ。本当にイラつく。


 義父や義母は基本的に私をいないものとして扱ってくるため、そこまでイラつかない。

 姉たちのいたずらはその一瞬イラつくだけでどうでもいい。

 やはりメイドたちが一番私のことをイラつかせる。本当にストレスだ。


 それにあのメイドは私のことだけでなく両親のことまで貶したのだ。

 私自身は良いまだ我慢できる、でも両親の事はダメだ。


 私のことを理解してくれ、優しく寄り添ってくれた両親との思い出を今でも私は、一番に大事にしている。

 誰だって自分大事なものをけなされれば、頭にきて叫びたくなるだろう。私はなる。

 考えれば考えるほどあのメイドへの怒りがふつふつと湧いて来る。


「ああーもうイラつくわね!!」


 そう怒鳴りながら壁を殴ると、


(カチッ)


 という音がした。そしてそのあと、


(ゴ、ゴゴゴ)


 と石が擦れる音がする。

 急にした音にサァーと頭が冷めていくのを自分でも感じた。


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