カミサマの仮使徒

@Evynnis19

炎狼の腕輪

第1話 驟雨優傘


『私はこんな人生本当に嫌いだ』私は挨拶まわりをしてきた他の貴族に、お淑やかな笑みを作って思った。


 こんな事を思いながらも笑みを絶やさないでいられるくらい、慣れてしまった自分  も、今もジロジロと不躾にみてくる貴族がいる環境も、会場の真ん中で女性に囲まれながら微笑む義父も、全て嫌いだ。


 でも終わらす勇気も覚悟もありはしない。そんな自分がやっぱり嫌いだ。

 昔のように優しい両親と何度もう一度過ごしたいと思ったことかわからない。


 あまりにいやらしく貴族の男が見て来るせいで嫌悪感が湧いて来る。


「おや?どうなされましたか?何処か具合でも悪く‥」


「いえ、ご心配なく。少し疲れたようなので風邪に当たってきますわ」


 いけない、顔に出てたようだ。また何か小言を言われる。そう思いちらりとお付きのメイドを見ると、やはり咎める顔をしていた。

 あぁやっぱり何か小言を言われるとうんざりしながらテラスへと向う。

テラスへと着くとすぐさまメイドが、


「どうしたのですか、優傘お嬢様。あんな顰めっ面をして、驟雨家の一員として恥ずかしくないのですか?」


 と小言をうるさく言ってきた。


「いや、私はそんな‥」


「また言い訳ですか、ハァ…良朔様もあんな庶民を好くなんて馬鹿な事を」


「両親のことは関係ないでしょ!」


「とにかく‼️今は誇りある驟雨家の一員なのでそれを弁えていただきたい物です。」


「わかってるわよ…」


「わかっているなら良いのです。明日は早朝から新年のご挨拶があるのですから、もう部屋に戻ってお休みください」


 そう言ってメイドは私を客室まで連れて案内し始めた。私は何も言い返せずにメイドの後ろをついて行った。


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