第6話 リファ
ギルドから、ニーニャの家に場所を移し、改めて、自己紹介をした。
「改めて、私は――リファ、魔族だよ」
ギルマス、バルクさんから、聞いてはいたが、本当に人間族との、区別が付かなかった。
「魔族って本当に、人間族と、そっくりなんだね」
龍がそう言うと、ニーニャが、説明した。
「魔族は、人間族とそっくりだから、見分けのつく様に、魔族人は、マントとか、杖とかの、魔法使いぽい衣装や道具を身につけているの」
リファは、うんうんと、首を縦に大きく振った。
確かに、リファの服装は、魔法使いみたいで、人間族の服装とは、かなり違っていた。
「龍は、そんな事も知らないか」
リファが、龍を小馬鹿にする様に言った。
「知らなくて、悪かったな、ちびっ子」
リファは、その言葉に、カチンと来た。
「何がちびっ子だ、私は、こう見えてもお前より遥かに歳上だぞ」
「また、冗談か!」
ニーニャが、龍に言った。
「龍君、リファの言っている事は、本当だよ!」
龍は、ニーニャまでも、自分の事を騙そうとしているのかと思った。
「何が、歳上だ、リファ見たいなちびっ子が、俺達より年上だと」
「なら言ってみろ何歳なんだ!」
次の言葉に、龍は、仰天した。
「良かろう、教えてやる」
「私は、今年で250才になる」
魔族とエルフ族の寿命は、かなり長く、見た目も、人間族の歳の取り方とは違い、歳を取っていても、若く見えるのだ。
現実離れした、年齢に龍は、思わず、ボソッと声が出た。
「ロリババア……」
リファは、更にカチンと来た。
「ロ……リ……ババアだと」
「もう怒ったぞ、お前を消し炭にしてやるわ!!」
リファ、が完全にブチ切れたところで、ニーニャが止めに入った。
「はい、そこまで!」
ニーニャの、声に、リファは、落ち着きを取り戻した。
「リファ、こんな所で魔法使ったら家無くなちゃよ」
「龍君も、ロリババアは、酷すぎだよ!」
ニーニャに、怒られた2人は、渋々握手をして仲直りした。
「2人とも、仲直りした事だし、本題に入ろうか!」
そう言うと、さっきまで、ふざけていた2人も、真剣な眼差しになった。
「リファ、この話は、少数の人しか知らない、話なの」
「バルクさんにも、口止めされているのだけど、龍君が同じパーティーになるリファには、話しても大丈夫って言ってくれたから話そうと思う」
「でも、もしかすると、この話を聞いてしまうと、面倒に巻き込まれてしまうかも知れないの」
「私も、またギルドで働ける嬉しさで、そこまで頭が回っていないまま、リファに声を掛けちゃって……」
リファは、少し落ち込んでいるニーニャを見ると、すぐさま返答をした。
「ニーニャ、大丈夫だから話してみて」
「私は、ニーニャがまた一緒にパーティー組もうて言うのずっと待ってたの」
「だから、ニーニャとパーティー解散した後も誰ともパーティー組んで無いの」
「私は、ニーニャと一緒なら何処にでも行くよ」
「その、龍ってヤツもちょと気に食わないけど、ニーニャが選んだ大切な人なんでしょ!」
「だったら、龍も私にとって大事な仲間になると思う」
リファの、ここまでのイメージとは、全く違う発言に龍は、驚いたと同時に自分の、子どもぽさが少し恥ずかしく思った。
「リファ――ありがとう」
ニーニャは、リファに、龍との出会いや、ドラゴンの事、異世界転喚者である事、そして全異世界最強である事を説明した。
リファ、空いた口が塞がらないまま、ヨダレを垂らしていた。
「リファ、ヨダレ垂れてるよ」
ニーニャが、ハンカチで、リファのヨダレを拭き取った。
「ごめん、話が斜め上どころじゃ無かったからつい、驚いちゃった」
「ニーニャの言う事だから信じるけど、なんか現実味が、無くて……」
「例えば、龍が人間族以外の、スキルとか使って見せてくれたら、少しは実感が、湧くかも」
「そうだな……」
「バルクさんから、目立たない様にと言われているからな……」
リファが、提案する。
「じゃあ、誰にも見られなきゃ良いんだよね!」
「私が、空間魔法で、異空間を作るから、そこで何かやって見せてよ」
確かに、誰にも見られないなら大丈夫だと思った龍は、その提案に、了承した。
「じゃ、やるよ!」
「空間魔法――スペース」
リファが、そう言い杖を振ると、3人は、謎の空間に飛ばされた。
「凄い、これが魔法……」
龍は、驚きと、初めて見る魔法に、興奮した。
「空間魔法、スペースは、魔族が魔法の練習をする時に使う空間魔法なの!」
「魔法の練習って失敗すると大変な事になるから」
「大変な事って」
「酷いと、町消えちゃうとか!」
「それは、大変だな!」
「だから、異空間を作って失敗しても大丈夫な様にするの」
「ちなみに、私レベルの、魔族にもなればこの空間への干渉や盗聴も出来ない様に出来てしまうのだ!」
「凄い、凄いよリファ!!」
その龍の、テンションの上がり方に、リファも満足げな様子だった。
「そう言えば、さっき私ぐらいの魔族になればとか言ってだけど……」
その問いに、ニーニャが答えた。
「龍君、リファは、実は、凄い魔族なの!」
「かなりの腕前から、王宮魔族隊隊長も、やっていたの!」
「王宮魔族隊?」
龍が、質問するかの様に言った。
「そう、王宮魔族隊は、王宮の魔法部隊で、王宮騎士団同様、緊急事態の時などに、活躍する王宮のエリートなの」
「え、ちょと待ってよ!」
「その、エリートで、王宮魔族隊の隊長って事は、もしかして、リファってこの王国最強の魔族って事!?」
「そう言う事だよ! 龍君」
まさか、このロリババアが、王国最強の魔族だなんて思っていなかった龍は、リファに対する見方が少し変わった。
「私の話は、それぐらいにして、龍何かやって見せろ!」
龍は、誰にも見られないなら空間だと思うと、やってみたい技をやって見る事にした。
「まずは、コレ、やってみたかたんだよな」
龍は、右手の人差し指を前に向けると、あの有名な、戦闘力53万の、技をやってみた。
「デ◯ビ◯ム」
龍の指先から、出た光線は、異空間の壁に当たると、物凄い威力で爆破した。
余りの、爆風で、ニーニャは、転んで怪我をした。
それを見た、龍は、慌ててニーニャの元に駆け寄った。
「ごめん、ニーニャ大丈夫」
ニーニャは、爆風て、膝を擦りむいてらしく血が出ていた
龍は、この時咄嗟に、エルフ族のスキル、リカバリーを思い出し、ニーニャの、膝の上に、手を被せて使ってみた。
「「リカバリー」」
龍が、そう唱えると、一瞬でニーニャの怪我は、元通りになった。
「ごめん、ニーニャ、本当にごめん」
何度も謝る龍に、ニーニャは、優しく言った。
「大丈夫だよ、龍君」
「龍君が、治してくれたからもう痛く無いよ!」
その一連の流れを見ていた、リファは、龍に向かって喋り掛けた。
「あんた、本当に、オールスキル持ちなんだね」
「リカバリーを使えるのは、エルフ族だけだし、それにさっきの技、人間技じゃ無いもんね」
「あんな技、見た事ないし、私の空間魔法が、あの一撃で、壊れそうだった」
「龍が、最強の存在って事も、これで信じられるよ!」
リファが、そう言うと空間魔法を解除した。
「龍、いくつか、聞いていいか」
龍は、頷く。
「さっきの技は、魔法なのか」
龍は、答える。
「いや、魔法じゃ無いと思う」
「俺は、全異世界最強だから、漫画や、アニメ、つまりは、架空の存在の技や、能力も使えるらしいんだ!」
「さっきのは、架空の世界の技なんだよ!」
「なるほど……」
リファは、少し考えたのち次の質問をぶつけてきた。
「ちなみに、さっきの技は、全力で撃ったのか」
龍は、首を横に振る。
「イメージでは、かなり抑えて使ったよ」
「俺は、この世界に来てから、何かを攻撃したのなんか最初のドラゴンだけだし、自分で自分の事をよく分かってないんだ」
「ただ、俺をこの世界に転喚させた、神様曰く、何でも出来るらしい……」
リファは、龍のその言葉に、ある提案をした。
「龍は、君は、正直危険だ!」
「それは、自分の制御が、まるで出来ていないからだよ」
「このまま、パーティーを組んで、依頼を受けるのは、非常に不味いと思う」
「例えばだけど、龍が、その辺の、チンピラに絡まれたとする」
「龍なら、どうする」
龍は、考える様子も無く答えた。
「殴る!」
「だろうね、でも今の力の制御が出来ないまま、そのチンピラを殴ると……」
「殴ると……」
「チンピラの、首が飛ぶ!」
「それは、まずいな……」
「だから、これから暫くは、私が面倒を見るから、力の制御の特訓をしよう!」
「とりあえずは、人を殺さない程度の力の制御が出来るまでね!」
リファは、ニーニャにも問いかけた。
「ニーニャも、それで、良いかな」
ニーニャは、笑顔で、賛同した。
「大丈夫です、私も協力するので、頑張りましょう!」
「じゃあ、決定ね!」
「明日から、特訓返しだよ!」
そう話終わると、外は既に日が暮れていた。
「あ、もうこんな時間!」
外は、薄暗くなっていたので、リファをニーニャと一緒に、送ってく事にした。
「歩いて帰るの、疲れるな……」
リファが、気怠そうに、言った。
「魔族って、魔法使えるから、瞬間移動とか出来ないの」
龍の、発言に、リファが、これまた気怠そうに、言った。
「そんなの、無理に決まってるでしょ!」
「移動魔法って、膨大な魔力が必要だから、1人じゃ無理なの」
「魔族100人ぐらい集まって、やっと1人を移動出来るぐらいよ」
「まぁほうきが有れば、浮遊魔法で空は、飛べるけどね」
「今日は、ほうき持って来てないから徒歩だよ」
「とほほ――徒歩だけに!」
そのつまらないギャグでリファとニーニャが凍りつくと、リファは、ある事を言い出した。
「龍、あんた確か何でも出来るって、その神様に言われたんだよね」
「試しに、私の部屋に、瞬間移動とかしてみてよ!」
「ここから、私の部屋なら、誰にも見られないでしょ」
龍は、それは、出来ないと思った。
何故なら、大体の、瞬間移動は、行った事や、見た事のある場所にしか、行けないからだ。
リファの、家、ましてや部屋までなんてどう考えても不可能だと思ったが、一応やってみる事にした。
「多分、出来ないと思うよ……」
龍は、リファと、ニーニャの手を掴むと、頭の中で瞬間移動する想像をした。
「じゃあ、やってみるよ……」
「「テレポート!」」
龍が、そう言った瞬間、そこは、見た事の無い部屋だった。
「嘘、本当に出来るなんて!」
「しかも3人も!!」
テレポートが出来たのは、嬉しいが何故、行った事のない場所に、テレポート出来たのかが謎だった。
それを、リファとニーニャにも言ってみた。
「そんなの、簡単だよ!」
リファが、即答した。
「テレポートで重要なのは、記憶なの」
「で、その記憶は、テレポートに参加する者の誰でも良いわけ」
「つまりは、今回で言うと、私か、ニーニャの記憶でも大丈夫なの」
「私は、自分の部屋だから知ってるのは当たり前だし、ニーニャも部屋に何回も遊びに来てるから、今回テレポート出来たって事だよ!」
龍は、リファの、その洞察力に驚いた。
「リファ、凄いな!」
リファは、えっへんっと、両腕を両脇に置いた。
「一応、私、王国1の魔族だからね〜」
「これ位は、朝飯前よ!」
謎が解けた所で、長いするのも、申し訳ないので、おいたまする事にした。
せっかくなのでテレポートで帰ろうとすると、ニーニャが龍に、言った。
「ちょっと歩かない」
そう言ったニーニャは、龍の腕の袖を軽く引っ張った。
「良いよ、歩いて帰ろう!」
リファに、また明日と、挨拶をして、家を出ようとすると、リファが龍の耳元で、ニーニャに気付かれない様に囁いた。
「ニーニャを泣かせたら許さないからね」
そう言ってリファは、龍の背中をポンと押して、家から出した。
それは、リファにとってニーニャがとても大切な友達だからと言う意味と、ニーニャを想っている龍を応援するリファ也の思いやりでもあっのであった。
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