小話 もしも〇〇ならシリーズ⑥
もしも、カイルが学校の生徒なら その2
「あれ、カーくん、大河っまだここにいたの?」
あれから数分。
まだ大河とギャアギャアと言い合っている所に祭がやってきた。
「祭。どうした?」
この時間に門前までやってくるのは珍しいと大河もオレとの言い合いを一旦やめて祭に向き直った。
さて。
祭は一体何しにきやがったのか。
「あのね~、パパが、もう授業始めるから、二人は廊下に立ってなさい、って」
その瞬間、オレと大河は固まった。
「待て祭。こいつはともかく何故俺まで……」
「ん~ボク分かんない。でもパパが言ってたんだもん」
あんの極悪クソ狐ぇぇぇえええええ!!
絶対、遊んでやがるんだろ!
オレと大河で!
ちらりと大河を見れば、口には出していないものの内心でクソ狐をこれでもかと罵っているのだろう。
「ふっふっふ~教えてほしい?」
声と同時にやってきたのはやはりクソ狐。
有無を言わさず奴はオレと大河に向かって声を大に言った。
「そんなの、遅刻したからに決まってるでしょ。大河クン! いくら風紀委員でも、鐘が鳴るまでに座ってなきゃ意味がないって言ったの、大河クンだからね!」
「ちょっと待ってくださいパパ上」
「待ちやがれクソ狐!」
「言い訳は微塵も聞きません~。これ以上パパに逆らうなら、内申下げちゃおっかな~。さ、祭ちゅわん。授業受けに行きましょうね~」
結局……
「なぁ」
「うるさい。厄病”人”」
「誰が役病”人”だよ!」
「貴様に決まってるだろう。貴様のせいで何故、俺までこんな仕打ちをされなければならん」
「んなのあのクソ野郎に言いやがれ!」
両手に水の入ったバケツを持たされ、頭にも水の入ったバケツを乗せられて廊下に立つ二人。
「うるさいよ二人とも! バケツ増やされたい!?」
「「すいません」」
生徒になっても彼が可哀そうであることは消えないのである。
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