小話 もしも〇〇ならシリーズ④
もしもカイルが学校の先生なら 結論
「っていう設定の悪夢を見たんだよな」
どう考えても、夢も現実も変わらない。
クソ狐からモロに喰らう虐めからは逃れられないのだ。
「一言で言うなら、下僕、だろう」
「大河……お前ははっきりきっぱりあっさりと言い過ぎだろ。夢でも現実でも可哀想だと思わねーのか!?」
「そんな夢を見るのもそうだが、俺にわざわざ夢の内容を話し自分で自分を可哀想と言っている時点で、頭の中が十二分に可哀想だと思うが?」
やはり、しれっと言葉を返す大河。
「もしカーくんが学校の先生なら、ボク、サボらずに毎日学校行くよっ! だって、カーくんがいたら楽しそうだもんっ」
「お前は勉強しそうにねーから、オレが先生なら卒業まで面倒見させられそうだから嫌だ」
「俺なら喜んで祭の勉学の面倒を見るぞ」
「いや……お前が先生だったら祭贔屓してばっかりだからダメだろ」
「んー。でももし、一緒の学年で学校に行けたら、ボクは大河と、カーくん、一緒に通って勉強して、たくさん遊んでお話しして、普通の人間みたいですっごく楽しいと思う!」
思えば、この場にいる全員が普通ではない。
人間だが魔術師のカイル。
親子で神職をする狐の祭。
神様なのにこの場にいる大河。
「祭が言うのならば、楽しくなるのだろうな」
「……大河、テメー本当にそう思ってんのか?」
あまり表情が変わらない大河だ。
さほど楽しそうには見えない。
「今でさえ毎日が大変ながら楽しいとさえ思うのだ。俺達が普通の”人”であり出会っていたとしても恐らく、日々のことは今と景色はそう変わらんだろう」
「そうだよねっ。だからカーくん、そういうお話、残しておくのもいいかもしれないよっ」
「んなことするかよ。黒歴史にしかなんねーよ」
だが数日後、カイルは大河と祭に夢の話をして後悔することになる。
大河が母である流雨にカイルの夢の話を手紙で送ったところ、飛びつきその話をするようにと強制されたのであった。
「……テメー……」
「……スマン。口、いやあまりにも手紙に書くことがなくてな。手が滑った」
「すごいね! 流雨さんすごい!」
「素敵ですわ! もう! こんな設定、ありふれていながら面白くなりそうですわ! カイルちゃん、本が出来上がったらプレゼント、是非致しますわね!!」
本気でいらない。
そう、口に出来ず結局、出来上がった本を頂く羽目になったカイルなのであった。
《もしもカイルが学校の先生なら 了》
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