小話 もしも〇〇ならシリーズ②

もしも、カイルが学校の先生なら その2


 散々な目に遭った。

 朝は遅刻してねーっていうのにクソ狐校長に、いつ作成したのかクビの書面をつきつけられるっていうパワハラを受けるし、じゃあ辞めてやるって言えば


「末代まで祟るし、君に居場所がなくなっても知らない」


 と返される。

 某組織ひいてはクソ師匠……何故、オレをこんな学校に派遣したのですか……。

 いくら弟のためとはいえ……もう心は限界です。


「オイ。何を阿呆面しているんだ」


 学校の庭でぼーっとしていると、話かけてきたのは大河だ。その後ろには祭もいる。


「わー! カーくん面白い顔っ! ねぇねぇ、にらめっこしようよっ」

「するか! 何なんだよ。つかお前ら学校では先生って呼べって言ってるじゃねェか」

「カイル……先生」


 大河はとてつもなく嫌そうな顔で言った。

 そんなに嫌か。

 コラ。


「別に嫌ってわけではないが……そうそう。弁当、いりませんよね? 先生」

「カーくん机に置きっぱなしだったんだよ。だから大河が持ってきてくれたんだ!」


 しまった。

 すっかり忘れていた。

 そういえば今昼休みじゃねーか。


「いらないなら、祭とパパ上に食べてもらいますが」

「いる! いるに決まってるじゃねーか!」

「え~……カーくんがいらないなら、ボクが食べようと思ったのに」


 酷く残念そうな祭。


「オレのだよな!?」

「まったく。せっかく俺が作ってやったのだ。忘れるな」


 ってお前、先生って呼ぶ気さらさらねーだろ。

 そう思いながらオレは受け取った弁当箱を開ける。

 大河は朝からそれぞれに合わせた弁当を作ってくれる。

 祭やクソ狐にはおあげをメインに。

 自分のものはバランスよく、オレのもバランスよく肉をメインに作ってくれる。

 味も絶品で、三食大河の飯が食えるのは至福だ。


「やっぱお前、いい腕してるな……」

「大河のお弁当おいしいもんね! あ、カーくんご飯ついてるよっ」


 自分で取ろうとした瞬間、祭は身を乗り出して俺の頬についたご飯粒を取った。


「……貴様、覚悟はできているのか?」


 それを見た瞬間、大河がどこからか持ち出した日本刀をオレの首筋に当てた。


「ちょっ……待て大河! 落ち着け! 祭好きなのは十分よく分かってるから!!」

「俺は落ち着いている。大丈夫だ。殺したいところを打ち身程度に留めておいてやる」


 そして―――


「カイルくん。先生のクセに授業に遅れたバツとして減給ね」


 師匠……。

 こいつらゴーストを殲滅するには、まだまだ時間がかかりそうです……。

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