小話 もしも〇〇ならシリーズ①

もしも、カイルが学校の先生なら その1


 オレはカイル・シュヴェリア。

 主人公で、やたら不幸な目にあっている。そして今……俺は学校の先生という設定だ。

 その正体はイギリスの某組織から派遣された魔術師。

 この学校が怪しい、ということで魔術師ということを隠して来日してきた。

 今、オレが住んでいるのは、京ノ都学園の隣に建っているアパート―――儀園荘だ。

 ここに棲んでいるのは本当にゴーストと神様だった。


「カーくん! そろそろ起きないと、遅刻しちゃうよっ」


 眠るオレを揺さぶるのは、狐の祭。

 学校の校長であり、儀園荘の主である神の息子だ。


「祭。放っておけ。奴は二度と覚めない夢に旅立つのだから」


 今話をしたのが、龍神の大河。男だが美人で炊事洗濯なんでもこなす。

 つか二度と覚めない夢ってオレ、死んでるじゃねーか。


「あー……今、何時だ?」

「7時半だよっ。あのね、パパから伝言。『遅刻したら容赦しないから』だって」


 ガバァッ

 オレは飛び起きた。

 遅刻したら容赦しないどころか……もう行かなきゃなんねーじゃん!

 さっさと起こしてくれよ! と文句を言ってみる。

 すると大河からは


「知らん。俺と祭に被害がないのならば、貴様がクビになろうが、どうなろうが構わん。俺と祭は生徒なんでな。後で行く」


 酷ェ。

 とにかく俺は荷物を纏め、顔を洗って儀園荘を出た。

 門から校舎までが一番長いのだ。

 クソ。

 こんな無駄にだだっ広い学校、作るんじゃねーよ。




****



 そして―――案の定、オレはクソ狐校長に呼び出されたのだ。


「あはっ。カイルくん。減給してあげる」

「やめやがってください。クソ狐校長」


 何でこんなことになるんだよ。

 遅刻してねーじゃん。

 ギリギリじゃねーか。

 何なんだよこの理不尽な会話。


「えー。じゃあここで全裸になって……」

「なるか。辞めるぞコラ」

「いいよ。末代まで祟るし、君に居場所がなくなってもいいならね」

「……チッ」

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