小話 大河の甘味な日常②
お待たせしました、と店主が運んできたのは俺の注文した品だ。
春らしく桜餅、苺大福、苺と桜の和パフェ。
最近は和の甘味処でもパフェやケーキと融合した菓子も流行っており、菓子の幅が広がったというのが俺にとっては非常にありがたい。
まずはパフェからだ。
桜ソフトクリームに甘酸っぱい苺と苺のソース、抹茶のケーキの層が程よい苦味があり餡子と白玉がよく合う。
うむ、このパフェは素晴らしいな。
長く生きてきたが西洋東洋様々な幅広いスイーツが食べられる今の時代は何とも良い。
こんなに美味いスイーツを作る店主には末永く生きて次代へと継承していってもらいたい。
次に桜餅……これも餡子とよくマッチしている。
少し濃いめのお茶に合う。
土産にしよう。
もちろん俺と祭……仕方あるまい。
パパ上とカイルとハデスにはついでに買って行ってやろう。
最後に苺大福。
これは至高だ。
大福はやわらかく、今多いトレハロースとやらだったと思うが、そのおかげかすべすべもっちりしっとりやわらかい。
毛嫌いする者もいるようだが、俺としては昔ながらの物も、近代的な物もどちらも好きだ。
白餡子と黒餡子二つで一対なのが嬉しいな。
どちらの味も楽しめる。
よし、これも土産だ。
苺の甘酸っぱさが何とも言えない。
濃いお茶で口の中を戻してまた一口齧る。
やはり甘いものは至福だ……。
もしも携帯電話などという無粋なものを持ち歩いていれば常に俺の至福の時は邪魔をされ続けるだろう。
主にパパ上からの悪戯メールやらメッセージやらがうるさいだろう。
持つ気は一切ない上に必要がないが、カメラの機能は良いかもしれん。
気楽にブログとやらで甘味処の紹介なども面白いかもしれんな……いやいや、俺はやらないが……。
カイルにやらせるのも一興かもしれん。
あくまで、俺はやらん。
……家計の足しになるのなら、考えても良い。
む、そんなことを考えているともうなくなってしまった。
また後日、今度は違うものを食そう。
久々にゆったりとした時間を過ごした。
またこんな時間を持ちたいものだ。
続
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