第31話 規格外
琥珀は距離を取ったものの直ぐに僕との間合いを詰める
こうなってくると僕としては勝機は薄い
一定の距離を取り続けられないということはつまり魔法で攻撃する僕からは攻撃が出来ないということに直結する
「……っ!」
「ん、もしかしてお兄ちゃんバテてる?」
琥珀の攻撃速度が少しずつだが加速している。その上僕の体力もそこをつき始めた本格的にヤバい
「もうちょっと楽しめるとおもんたっただけどなー」
琥珀がつまらそうに呟く
「でも、仕方ないかお兄ちゃん昔から運動は得意じゃなかったもんね」
そう言って琥珀は僕との距離を一気に詰め右手を引っ込めた
「んじゃばいばいお兄ちゃん」
琥珀が僕目掛けて殴りかかってきた
「グラビティ・ホール!!」
僕と琥珀との間に重力空間を発生させ琥珀に何倍もの重力を加えてやる
普通の人間なら…いや、普通の人間でなくてもこの状況で打開できないはずだ。ましてや不意打ち回避出来ることはない
グフッそんな声を出しながら地に押しつぶされる琥珀
「ほんっと規格外だよね」
「お前の方がな」
ゆっくりと立ち上がる琥珀まだ体が環境に慣れていないからだろうよろよろしてるがやがて先程のように攻撃を食らわせてくるはずだ
なんせ今の琥珀は魔王そこそこ適応力のある僕の妹と考えるとそれこそ『規格外』の適応力を見せつけてくるはずだ
「こんな隠し種持ってるなんてなぁびっくりしちゃった」
フゥー。安堵か驚きかため息をは漏らす琥珀だがその表情には余裕が残っている
「お前がこんなんでやられるとは思ってなかったからな」
正直なとここの不意打ちで終わってくれるなら万々歳だった
種がバレてはこちらが不利になっていくばかりだ
「そろそろ終わりにしてもいいと思うんだけどね」
そう言って琥珀は赤黒い槍を空中に生み出す
当たったらまず死ぬだろう。当たらなくても致命傷になりかねない
「おいおい、それこそ規格外じゃねーか」
「お兄ちゃんには言われたくないなぁ。初めて見たよ何種類も無詠唱で魔法使うなんて」
それもそうか傍から見たら僕はそんなふうに見えてるのか
そんなふうに思いながら僕はそこらに落ちていたちょっと太めの木の棒を手にした
「お兄ちゃん?それで私がやられるとでも思ってるの?」
僕の能力で1番恐れなければならないのは死ねないことだ
いくら死んだから過去に戻れるとしてもそもそも死ねない状況半殺しや致命傷で終わってしまえば何も出来ない
「勝てる算段がなきゃこんなことはしないってのはお前が1番知ってるだろ」
「ほんと嫌味な言い方する」
琥珀がつまらなそうに言い放つと同時に槍もまた放たれた
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