第30話 魔王再来
轟々と赤く燃え上がる炎、その熱がヒリヒリと肌を焼いていく
ボロボロと崩れていく屋敷を見ながら僕はどうすることも出来ずに膝を着いていた
刹那火の海から「ナニカ」が飛んできた
その「ナニカ」は木を数本倒して止まった
「ゲホッ…」
(?!?!?)
そして、もうひとつ火の海から「ナニカ」が出てきた
「まさかこれだけで終わりだなんて言わないよね?」
今出てきた「ナニカ」はこっちの口調の琥珀だった
「ん、あ!お兄ちゃん!こんなところで何してるのー!」
琥珀は僕を見つけるや明るい口調で話しかけてきた
僕はその行為が僕の知っている琥珀をバカにされているようでイライラした
「琥珀!」
琥珀の身体がビクッとはねる
僕も自分でもびっくりしていた。なんせ僕は琥珀に対して怒ると言う行為をこれまでしたことがなかった
それゆえ自分の口からこういった声が出るとは思っていなかった
「お、お兄ちゃん?」
琥珀は珍しくビクビクと怯えながら僕に問いかけてきた
「ヒール」
僕は木にもたれかかっている「シャムル」を回復させた
(これで命は助かるはずだ)
もともとが強いシャムルのことだそこまで心配もいらないだろうが万が一ということもある
琥珀は未だに怯えている
これがもし演技だとしたらそれは凄いと思ってしまう
「琥珀。そいつはもう戦えない」
「嘘。お兄ちゃん今その娘に対して回復魔法をかけてた」
流石にバレてたかと思ったがそのこと自体はそこまで重要じゃない
「だから僕とバトンタッチだ。選手交代、遊び相手が僕になったってこと」
僕がそう言うと琥珀はフゥン…と目を細くしていった
その姿に怯えは無くなっていた
「そこまで言うんだ。直ぐに壊れないでよお兄ちゃん!!」
そう言い切る前に琥珀は地面を抉りながら一気に距離を詰めてきた
それを何とか凌いでいくが魔法を主な攻撃手段として戦う僕とすればこの超高速型接近戦は部が悪すぎる
身体強化系の魔法を覚えているのなら話は違ったのだが生憎習得していない為何とかして距離と時間を取らなければならない
「フリーズ!!」
攻撃と攻撃の一瞬も無い隙に魔法を発生させる
僕の思惑通り琥珀は距離をとった
「ははは!お兄ちゃん楽しい!琥珀ねいますっごく楽しいの!」
アハハハと狂気的な笑い方をする琥珀を見て少し胸が痛くなる
「これだけじゃ終わらないんでしょ!もっと!もっと楽しませてよお兄ちゃん!!!」
「僕としてはこれ以上楽しませたくはないんだけどな」
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