第29話トドメの 爆発
掌から凄まじい爆音と光を放った魔法は森に向かって一直線の穴を開けていた
周りにある木は黒く焼け焦げ、ピリピリと電気がまだ若干ながらも残っているのが目に見えている
その様はまるでレールガンを打った後のようだった
(こけれだけの威力ならあいつも流石に弱ってるだろ)
流石のこれでも死んだとは思ってないがそれなりにダメージは与えることができたと思う
だがあいつには自然治癒のスキルがあったはずだいつまでもここでゆっくりする訳にも行かない
そう思った僕はトドメをと右手を森の方にかざして詠唱を始める
「灼熱の焔たる炎よ、我が手に集い力の限り炸裂せん」
「『ヴァンフr』」
そこまで唱えたところで僕から反対の方角から爆発音が鳴り響いた
中途半端なところで止めてしまった魔法は掌でボンッ!!とそれなりの音を立てながら暴発していたが今はそんな事はどうでもいい
なんせ爆発音がした方角には屋敷がある
ここから屋敷までは僕が全力で走って走って5分程度
そこまで遠くにいなかったことは幸いだがあの爆発音を聞いたあとだとこの距離は1キロや10キロに感じられた
(クソッ、こんなことなら強化魔法も覚えておくんだった)
そんな後悔を心のなかで思いながら全力で走る
日本にいた時もそうだったが僕はそこまで運動が得意と言うわけじゃない
そして生憎とこっちの世界でもそれは変わっていなかった
こっちに来てから色々とあったから少しは動けるようにはなったがそれでも足りない
そう考えると強化魔法を覚えておくのは正解だったかもしれない
道なりを走って5分は長すぎると感じた僕は森を突っ切ることにした
森の中は各々が自分の行きたい方向に伸びた木が鬱蒼と生い茂っておりそのせいか日が余り当たらないのだろう、地面は少しぬかるんでおり滑りやすくなっていた
つまるところ走るのには向いていなかった
だが、そんなことはお構いなく突き進む
そして、ようやく森から抜けると屋敷が姿を見せた
屋敷は2階部分の3分の1は爆発によるものだろう…消え去っており、屋根や壁には大小異なる無数の穴が空いていた
この状況は僕にとってはそれだけで生きる力を奪うには充分なものだった
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