第16話 デスゲーム〜終末〜
意識が無くなった僕に次に目に映ったのは点にも届くほど大きな氷柱だった。
「は?」
いや確かに僕はさっきのこの氷柱の向こう側に居るであろうあいつに殺されたはずだ。
いやそもそもとして僕が放ったのは『フレイム』であってあいつが放ったのも『フレイム』だったはずだ。だが今目の前にあるのはなんとも立派な氷の柱だ。
「詰まるところ、僕は違う世界線に死に戻りしたと考えたらいいのか。」
いやそれ以外にこんな現象を説明するのは難しい。ならばこの仮説が正しいと判断するのが妥当だろう。
そしてここまで死に戻りしたということは、
「あいつを倒さないと行けないということか。」
ピキキと音を立てて氷柱から氷の礫が飛んで来た。僕はそれをすんでのところでよける。
(あいつ!さっきは攻撃をしてこなかったのに!パターンが変わってる!?)
「あはははは!!僕の攻撃を避けるなんで凄いじゃないか」
嘲るように笑うあいつの瞳孔はガン開きになっている。その姿はまさに戦闘狂という感じだ。
この状態のこいつと殺り合うのはあまり得策では無い。なら短期決戦で終わらせるか。
「フリーズ」
当たらないのはさっきで分かっている。これはあくまで囮だ。あいつは多分僕の背後に回り込む。そしてさっきのように腹部に突きを入れてくるだろう。
「遅い!!」
背後に人の気配。僕の予想通りだ。動きさえ分かっていればさっきの様に殺られはしない。だから僕はさっきの突かれた右腹とは逆の左にステップを踏む。
スっ、と僕の右腹を華奢な腕が飛び出してくる。少し裂けてしまった。だが、今は気にしてられない。僕は右手であいつのツボを押して動きを止め、気を集中させて凛々と赤く輝く左手をあいつに向け呟く。
「フレイム」
◇◆◇
(面白い!実に面白い!)
ソエダシュウは僕の攻撃を避けてみせた。それにあの炎柱そして溢れ出す魔力。僕のゲーム相手(遊び相手)に申し分ない。
ただ…攻撃パターンが単調だ。戦い馴れしてない動き。その動きは読みやすく分かりやすい。僕はソエダシュウが放ったフリーズを避け背後に滑り込む。
(さぁ、終わりにしよう。このゲームを)
右手を突き出し、右腹を突く…突いた気でいた。
僕が突き出した右手は空を切り、瞬間ソエダシュウが動いた。あの一瞬ではソエダシュウは僕の場所は分からないはずだ。
なのにまさに今僕が攻撃するをわかっていたかのように避けてみせた。
ソエダシュウが動かなくなった僕の一瞬を着いてツボを押す。
(ツボを押され体が動かせない!?)
頑張って首を回してソエダシュウの顔をみる。
(!?)
その顔は狂気に満ちていた。笑みを浮かべているのに目は死んでいて瞳孔はガン開きである。
冷や汗が止まらない。血の気が引いていくのが分かる。
(一体こいつはどんな生活を送っていたらこんな表情ができるんだ。)
そして、ソエダシュウはその狂気に満ちた顔を変えずにボソッと呟く。
「フレイム」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます