第14話 食事の前に一つゲームでも

 この後男が見た景色はとても平穏とは程遠いものだった。時間にして10秒。その間に玄関をぶち破られ、女が抵抗した時に倒れた家具が廊下に散らばり、そして…

 少女は消えていた。


         ◇◆◇


「行くな!」


 気がつくと僕は手を天井に突き出すような形で目を覚ました。

 自分の声で目を覚ますことがあるとは聞いたことがあるが、ホントだったとは。

 

「あの、大丈夫ですか。」


 僕が急に大声を出して飛び起きたからびっくりしたのだろう。

 いつの間にか横に座っていたネフレンがビクッとしながら尋ねてきた。


「あーうん。大丈夫。少し悪い夢を見ていただけだから。」


 それにしてもあの夢はなんだったのだろうか。僕の過去の夢、記憶の中から引っ張り出してきたような感じだった。それにあの夢の中で僕は少なからず動くことが出来た。ほんとになんだったのだろうか


「それなら良かった。」


 ホッとため息を零ネフレン。ほんとに心配してくれたのだろう。

 なんだか申し訳ない気持ちになってしまう。無言の時間が少しでもあるのが苦手な僕は少し強引に話を変えようとした。


「なぁ、ネフレンご飯ってできてるのか?」


「いや、まだお手伝いさんは来てないです。」


 そうか。と言おうとした時、コンコンと3回ほどのノックとともにドアが開いた。


「ソエダ様、ネフレン様。お食事の用意が出来ましたので、お連れになりました。」


 そして僕たちはシャルムのメイドに相変わらず長く広い廊下を歩き、ひとつの大広間へと連れられた。


「シャルム様、ソエダ様とネフレン様をお連れしました。」


 そこには長テーブルが置かれ、その上には豪華な料理が置かれていた。

 隣にいたネフレンははわぁぁぁ…。と目を輝かせていた。


(ったく、どこまでお嬢様なんだか。)


 そんなことを考えながらメイドに指定された長テーブルの1番奥の席に腰を下ろした。

 左隣にネフレン、ネフレンの向かえ側にシャルムが座っており、その隣には僕が知らない少年が座っていた。

 見た目からして14歳かそれより若いか、どちらにせよシャルムの弟さんだろう。

 シャルムがコホンと咳払いを挟んでから立ち上がった。

 

「改めまして、2人ともようこそ我が屋敷へ、私の名はシャルム。クロノス・シャルムだ。隣に座っているのは私の弟の」

 

 そこまで言うと弟の方も立ち上がった。


「クロノス・イナクだ。来てもらって早速で悪いが、ソエダシュウ。僕とゲームとしてもらう。」


「は?」


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