第12話 お帰りなさいませ「お嬢様」

 僕たちはシャルムが家に止まらせてくれると言うのでしばらく歩き、1つの建物の前にたどり着いていた。

 いや、正確には館にたどり着いたと言った方が正しいだろう。

 だが、そんなことは別にいいのだ。魔女と言うくらいなのだからこのぐらいの家に住んでいても別におかしくない。

 そう。おかしくないのだ…


「お帰りなさいませ、お嬢様。」


(だけどこれは違うんじゃないか!!!)


 今僕たちはいわゆるロビーという場所でメイドさんにお出迎えされていた。

 はー。とため息をつくシャルム


「どうしているんだ。今日は出迎えは要らんと言っておいたはずだが。」


「まずいい、この2人は私の仲間だ客室に連れて行ってくれ。」


 シャルムがそう言うとメイドの1人が僕たちを客室に案内し始めた。


「お仲間様こちらに。」


         ◇◆◇


「では、お食事の準備が整いましたらお迎えの者をよこします。シャワーやトイレは部屋に備え付けてありますのでご自由におくつろぎ下さいませ。ソエダ様。」


 そう言ってメイドは部屋を後にした。

 ふぅ。それにしてもでかい。何がでかいと問われたら僕は「全てでかい」などと答えるだろう。

 この部屋は勿論のこと、廊下は広いし、天井は高い。家具や置物一つにしたって高級品と言うのが素人目でも分かる。

 これが、貴族の生活なのだろうか…。


「さてと、確か夕飯が出来たら呼びくるんだったよな。」


 それならば時間はかなりあるはずだ。

 それにしても今日は疲れた。スライムを倒すのに一苦労し、その直後にスライムの集団から襲われる。こんなことなかなかない。

 そして、今日は久々に沢山動いた。汗だって当然かいてる。

 ならば、シャワーでも浴びるとしよう。


 なんなんだこの家は、部屋に備え付けのシャワーと言うからホテルのシャワーと同じくらいかそれよりも気持ち広い程度だと思っていたが、まさかの自分の家の風呂場と同じくらいの広さだったとは…。

 なんか、疲れた。夕飯まではまだ時間はあるだろう。それならば寝て待つとしようではないか。そうして僕はこれまた無駄にでかいベッドの上で睡眠を摂ることにした。


         ◇◆◇


 そこには男と女が居た。

 歳は13、4辺りだう。2人とも服はボロボロで周りを見てもとても裕福そうには見えない。

 だが、その2人には笑顔があった。笑顔で楽しそうに料理をしている。

 男が振り返る。

 と、同時に顔が見える。

 その時俺は見てはいけないものを見てしまった気がした。

 優しく温もりのある笑顔で楽しそうに料理をしているその男は俺だったのだから。

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