第10話 初級魔法です。

 少しだけ時間がたった頃、ようやく粉塵が収まってきた。

 スライムが出てこない所を見るに完全に凍らせることが出来たようだ。


「それにしても愁さん。いつの間に上級魔法なんて覚えたんですか?あれだけの魔法を打てる人は世界でも両手で数えれる程度ですよ。」


「何言ってんだ?僕のレベルじゃあ低すぎて初級魔法しか覚えられないよ。今やったのは『フリーズ』僕でも使えるってことはかなり簡単な魔法なんだろうなんだろうな。」


「え?」


 ネフレンの顔が尊敬から何言ってんだって顔に変わっていく。


「またまた、そんな冗談いりませんって。」


 ネフレンの声が完全に呆れた感じになっていく。


「冗談でも嘘でもねぇよ。なんならもう1回その目で見てやるか?」

 

 ネフレンがこくりと頷くので見せてやることにする。


「よく見てろよ。『フリーズ』!!」


 そう言って俺は少し離れたところにあった木を氷の柱に変えて見せた。


「愁さんどうなってるんですか!?私の目はおかしくなったんですか!?」


「いいや、お前の目はおかしくなんかなっていないぞ」


「そんなわけないです!初級魔法のフリーズでこんな威力出る訳ありません!!」


「僕は他の人よりも少しだけ魔力が多いだけだ。おい、やめろ…俺をそんな目で見るな。」


 俺を見るネフレンの目が完全に逝っている。


「お、おい。それよりも周り見ろ!!」


 ふと周りを見ると僕たちの周りには赤や青、白に緑などといった様々な色を持ったスライムが集まっていた。


(今の騒ぎを聞いて集まってきたのか!?)


「しゅ、愁さんどうしましょう!」

 

「流石にこの量僕でも全て凍らせるのは無理だぞ!」


 じわりじわりと俺たちの周りを囲むようにしながら集まってくるスライム軍団。

 そして遂にスライムが一斉に僕たちに向かって飛んできたので全力で目を瞑る。


「『ライジングボルトショット』!!」


「危ないぞ君たち。」


 目を開けるスライムは襲ってきていなく、代わりにスライムであったと思われる様々な色の欠片と紫色の電気を纏う女が居た。


「そんなところに立っていたら私の魔法で吹き飛んでしまうよ?」

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