第9話 VS最強モンスター

「は、ははは。何を言っているんだ。そんなこと嘘だよね。」


 薄らと額に汗を滲ませながら聞いてみる。


「嘘ではありません。まずスライムは物理攻撃がほとんど効きません。次に魔法を放っても並大抵の魔力の魔法では吸収されてしまいます。」


 顔面蒼白になる僕にとどめを刺す勢いでネフレンは続ける。


「そして、スライムは1度張り付いたら相手の魔力と生命力を相手が死ぬまで吸い続けます。」


 流石に突くのを止め赤いゼリーから少し距離をとる。幸いにも張り付かれてはいないようだ。


(張り付かれてなくてよかった。)


 あのぷにぷにとした触り心地最高のゼリーが魔王幹部に次ぐ強さ…。

 でも、所詮スライムだ。ステータスは高くないはず…。


レッドスライム Lv.3

体力360  防御430

攻撃4   特防520

魔力10 特攻8

耐性:攻撃耐性(92%カット)Lv.32

スキル:魔力吸収Lv.42


 やっぱりそうだ。スキルが強いだけでステータスはあまり強くない。だが、耐性やスキルのLvを見るにそれなりの人を殺したのだろう。

 人を殺し慣れているモンスターは倒すのに少しばかり苦労する。これは前世の時に覚えた物だ。

 と、なれば僕が出来ることは…


「ネフレン!」


「は、はい!」


「僕が今から魔法を打ってスライムを氷漬けにする!お前はその間にトドメをさしてくれ!」


「わ、分かりました。でもスライムの周りだけじゃなくてスライムの内部まで凍らせてください!」


 周りだけやっても結局はぷにぷにとした病みつきになってしまうあの弾力のせいで刀が入らないのだろう。


「あぁ、分かった。やってみるよ。」


「フリーズ!!!」


 次の瞬間スライムに向けていた手の平から冷気がでて、一瞬にしてスライムだけではなくすらいむの居たであろう場所に大きな氷柱を作っていた。


「え、凄…」


「今のうちに!」


 驚いているような、見とれているようなネフレンに僕はそう叫んだ。


「あ、はい!」


 大きく剣を振りかぶったネフレンは自身が持っている大剣の3倍近くあろう氷柱を切り落とした。

 切り落とされた氷柱が轟音と共に地面に接すると土煙を上げながら粉々に壊れていくのであった。

 

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