第8話 最弱モンスター

 昨日の夜は疲れた。

 あの後僕が魔王軍の人ではないという事を無事証明することが出来た。

 しかし、説明するのに疲れてしまい結局は2人とも寝落ちてしまった。


「その、昨日はごめんなさい。失礼なことを言ってしまいました。」


「別にそれは気にしてないから大丈夫だよ。」


(それよりも気になるのが魔王は一体どうやってここまで力をつけたのだろうか、いくら転生の時にチート能力を貰ったとはいえ、ここまでなることは可能なのだろうか)


「愁さん?どうしたんですか。」


「いや、なんでもないよ。」


(まずはそこら辺を改めて知る必要がありそうだな)


          ◇◆◇


「と言うわけでレベル上げだ。」


 朝食を食べ終えた僕とネフレンは村から少し離れた野原に来ていた。


「この辺りはそこまで強いモンスターは出ることはまずありません。もしピンチになったら私のことを呼んでください。ここら辺のモンスターなら何とかできるかもしれません。」


 そんななんとも言えないことを言ってきた。

 だが僕も昔とは違う。雑魚敵くらいなら倒せるはずだ。


「以前の僕と同じだと思うなよ。この前みたいに木の棒じゃなく、魔法も使えるようになったからな。」


 そう、この前の僕とは違う。初級魔法とはいえ、きちんと魔法を覚えたんだ。


「それは頼りにしてますよ。」


(ん?なんだこれ?)


 ふと草むらに目を向けると赤色の丸くて平べったいゼリーみたいなのがいた。


(スライム?)


 つついてみるとぷよぷよしてて柔らかい。ほんとゼリーをつついてるみたいだ。

 ネフレンも僕が何かをしていることに気が着いたらしい。

 ネフレンが僕の横から赤いスライムを覗き込んでくると…


「愁さん!今すぐそのモンスターから離れてください!!」


いつになく緊迫した声でねフレンが叫ぶ。


「スライムだろ?そこら辺にいるようなモンスターで最弱のレッテルが貼られてることで有名なスライムだろ?」


「どこで教わった知識ですかそれは!!いいですか愁さん。スライムはモンスターの中でも最強クラス魔王軍幹部に匹敵するとも言われているんですよ!!」


 ここで僕はこの世界がいかれていることを改めて身に染みて感じた瞬間であった。


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