第7話 魔王を倒す理由

 昼食を取り終えた僕たちはこの街を知るためにネフレンに観光を頼んだ。

 そして、いい感じの時間になったので宿に泊まることにしていた。

 観光からの流れとしては最高にいい。良いんだが問題はこの後ネフレンが宿を取ってくれた時に一部屋しか空いてない言われたらしいのだ。

 何とも異世界ファンタジー系でありありな事が起こってしまった。

 だが、今から別の宿に行ったところでアポ無しで部屋が取れるも限らない。最悪野宿ということも考えられる。

 それにこれは男なら一度は考えないだろうか「異性と一緒にお泊まり的な事をしたいと」そう考えるとこの状態も決して悪い訳では無い。

 とは言えここで僕がやばい行動に出たらこれからの生活に支障をきたす可能性も考えられる。

 それになってしまったものはどうすることでもできない。

 ならばこの状態を受け入れるしかないのでは無いだろうか。

 それはそうとして、昼にネフレンが言っていたことに違和感がある。

 あの後この村の人にネフレンのおじいちゃんについての話を聞いてみたら超が付くほどの凄腕冒険者らしいじゃないか。

 そんな人間が死んだとでもなれば国中に知らせが来るらしい。だが、ネフレンのおじいちゃんは8年前に魔王を倒しに行ったりきり帰ってきていない。なのにその知らせは来ていないと言う。


「どうしたんだすか?そんな難しい顔をして。」


 いつの間にか近くにまで来ていたネフレンがそんな事を言ってきた。


「あ、いやここらだったらどこら辺が楽にモンスターを倒せるかなって考えてたんだよ。」


 流石にこの事はネフレンには話すことは出来ない。


「そうだ。愁さんは何故魔王を倒しに行くんですか?」


 そういえばそんな話をするって言っていた。完全に忘れていたが。


「僕が魔王を倒しに行く理由は…」


 話してもいいものなのか今でも悩ましいものだが、約束は約束だ話すことにしよう。


「僕が元々暮らしていた世界に戻るためなんだよ。」


「え、じゃあ愁さんはこの世界とは違う世界から来たってことですか。」


「そういうことになる。」


 信じられないと言った顔で見てくるネフレン。当たり前だ僕から見て異世界であるこの世界もネフレンにとって見たら自分が産まれそして育っている唯一無二の世界なのだ。


「そ、それじゃあ愁さんは魔王と同じようにこの世界とは違う世界から来たってことですか。」


「そうだな…ん。今なんて言った。」


「魔王と同じようにと言いました。」


 僕はこの瞬間この宿から追い出されるかもしれないと本気で考えた。

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