第3話エリミネーター プライド
「他所はどうあれ、私のような名家ではな、特に年号が新しくなるこのタイミングで、それが例えどういう理由であろうとも祖先から連綿と続く家風を汚すことなど許されはしないのだよ。それがスペンサー家に生まれた者の定めなのだ」その栄誉あるスペンサー家の血筋こそが全てに優先されるのだ」「たかが、雑種犬等に構ってはおられん。卑しい者の命の代償など顧みてはいられないなのだよマイル君。たとえどんな言いつけであろうと飼い主に忠実であってこそ犬ではないかね、そう思わんかね、マイル君貴様こそ、ハリウッドの底辺で残飯を漁る犬の如きアクターに過ぎん。何と吠えようと所詮映画の効果音だ。せいぜい場所や状況説明のおまけだ。」「何も思わない。だが、俺は心に火が付かずとも。人は殺せるし指さえ掛ければ躊躇うことなく引き金は引ける」「よせ、マイル。何の得にもならんぞ」「生憎俺には損得勘定などというケチな判断基準は持ち合せていないんでな。もうちっとマシな命乞いを考えろよ」「私がいなけりゃ、エンセラダスの開発がどれだけ遅れるか考えてみろ。私一人の命がどれだけの事業を成功させるか。地球連邦政府の……」……」」「悪いが人の命とも思ってないんでな。スペンサー君」
「ゴキブリに名前を付ける趣味もねえし殺虫剤を撒くときもこっちに飛んできたらどうしようかと怯んだこともない。お前だってそうだろ。長い銃身を覗いて限り無い闇を見通しな」「ま、待て、数えきれない女を侍らせて酒を飲んで見たくないか。私の部屋にある金庫を覗いてみてからでも遅くはないだろう。これがその鍵だ。これをアンタにやる」「スペンサー、お前は人に殺意を抱かせる才能がある。その天賦を意識のある内に確かめろ」「ううわわ、待ってくれ好意的に受け止めてくれ決してバカにしているわけじゃない」「わかった。俺も鬼や悪魔ってわけじゃねえ、誰かに別れの言葉若しくは遺言なんぞを残すくらいは待ってやる。さあ、電話を掛けろ」「何をすればいいどうしたら勘弁してくれる何でも要求は訊く」「鈍いなお前、ドブさらいへの嫌がらせで学費などを叩いたわけじゃあるまい。証書は山羊の餌か」「だから俺はお前に、死を以って償えと言っているんじゃねえか」
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