第2話エリミネーター riot cobra

極太のブラックマークを黒々と引き摺って雄々しく黒い鉄の塊が加速してゆく

オリジナルの7リッターV8エンジンは8.4リッターまでスープアップされ、スーパチャージャーを奢られて600馬力を叩き出す。マッシヴなボディに相応しい強心臓は最高速度350キロをマークするモンスターとなって乗り手を選んだ。カスタムビルダーが白羽の矢を立てたのが誰あらん、マイル・ガイ・フィールドだ。。酔狂なカスタムビルダーはマイル専用車として10台制作したが全てマイルに譲ったという曰くつきの車である。車速が300キロを越え、挨拶に挙げた手が風圧で元に戻らない状況下で彼の、野太い腕の先の節くれだった指が赤いトグルを跳ね上げるとスーパーチャージャーがボンネットに跳ね上がる。エンジンに送られる圧縮した空気が再びコブラを目覚めさせ、癇癪を起こすようにホイルスピンを始める。タイヤが歓喜の悲鳴と共に白煙を上げ、加速の力を解放する。あろうことかメーターは300キロを越えているにもかかわらずだ。目標を貫かんとして騎馬隊から放たれた矢のような風が彼の身をそしてコブラを射る中余裕で白い脱兎の尻尾を捉えた。

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