エリミネーター
810929(羊頭狗肉)と申します。皆様
第1話エリミネーター ブラックムーン
一言で説明すればゴロツキに若い男が囲まれていた。傍から見ればカモにされた男が金品を巻き上げられそうになっているという風にしか見えない。だが、男は微笑を湛えているし、親しげな言葉さえ聞こえる。「モーガンスペンサーってのはお前か、ああ、そういうアンタらは一体何者なんだい?俺たちかい?金をもらって用心の警護をしている言ってみりゃ用心棒みたいなものさ元々傭兵上がりだギャングに飼いならされたゴロツキと同列に扱われては困る。
ま、そういうわけだ。一応上からはアンタを保護するようにという命令を受けてるんだがな、先ず行方から当たらなきゃならねえと知ってちゃ、本業の奴を応援に寄越したのによ。「ああ、悪かったな。間違いない、モーガンスペンサーは俺だ。ところで、アンタ達、腕はいいのかい?やけに大勢で出向いてきたのはハッタリでもかますつもりなのか?」「おめえ、ふざけてるとただじゃおかねえぞ」」こちとらいくら危険を顧みず職務に忠実でありたいと思っていてもだ、奴が相手と分かってりゃ断ったさ。まともにやり合おうとは思わん。奴が誰だか分かってるのか。マイル・ガイフィールドだぜ、通称エリミネーターと言われて触らぬ何とかに祟りなしとかって言われてるんだぜ」「アンタら見た所ほぼ現役だろう、何をビビってやがるんだ。戦地帰りの元傭兵 奴はブランクのある退役軍人だ。何といっても相手は丸腰同然でたった一人じゃねえか」「バカ、素人は黙っていろ。丸腰かどうか よおく見やがれ。奴の装備は全身戦闘用ハイテクの塊だ。上半身はケブラー製Tシャツ、ボトムスはただのGパンじゃねえ、宇宙艦のドックで建造中に事故があっても無事に済むように拵えた一品だ裂こうったつて刃物を弾いて裂けない。バイスマテリアルって特殊素材を使って作られた
そのまま惑星探査をこなしても平気なくらい頑丈な宇宙服同然の高強度高耐久の装備だ。多少の戦闘などかすり傷付かないタフネスこの上ない。そのジーパンの胴回りにホルダーもなく差し込んである銃が地球連邦政府軍がエンセラダス攻防戦でパワードスーツに装備していたマニピュレータブラスター『ブラックムーン』だ。ブラックムーンてのは元々は惑星開発用に造られた、そうさ、岩石や鉱石か何かをぶっ飛ばす為の要するに発破さ。何でもぶっ飛ばし、貫いてできる黒い穴を月に見立てて付いた名前がブラックムーンだ。そいつをあの激戦を演じた攻防の後パワードスーツの手から馬鹿力でもぎ取って来たのが奴のジーパンの腰に刺さっている銃だ。当然その破壊力から凄まじい反動がある。パワードスーツ装着時は反重力発生装置で反発させて命中精度を制御していた。コンピュータでな、だから、普通人間が持って撃っても当たるもんじゃねえ。通常 人が撃てば腕の付け根から間接が外れて腕が後ろに持って行かれるぐらい反発と衝撃力があるはずなんだが、奴にはそれがない。人間が持って撃つようにできていない。対人用の火器じゃない環境を変えるとか都市の再開発とか、そんな目的以外に用途がない代物だ。それを道具に殺し屋をやっているってな。誰も物騒で近付かない。それがこの業界の常識さ。ちょっとヤバイヤマ踏んだ程度のボンボンが知った風な口を利ける奴じゃねえんだよ
ところでお前さん何でそんな物騒な奴に追われているんだ。そこからがまたエンセラダス攻防戦に関わって来るのさ、あの悲惨な戦闘にな」あらゆる戦闘に負けたことがない根無し草の傭兵の奴にとって敗北の記録が残されるのに堪えられなかった。だから、そのデータを記録した奴とデータを残そうとする奴を消しちまおうってのがアイツの狙いさ」
下らん、そんななまっちょろい、乳臭いガキみたいな理由で奴が意地を張るってのが解せない。お前もお前だとっととくたばっちまえ。戦に取り憑かれた者の血に塗れたプライドに関わるゲスな生き方なんぞ中途半端に長引かせるなんぞ見苦しいにも程があるぜ。お前も奴が戦ったおかげでまだ生きているんだからちっとは奴への恩義に報いろってもんだ。
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