このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(275文字)
淡々とした筆致で描かれた南国の光景は瑞々しく、地下へと下っていく様は神話の出来事のような感覚を覚えます。地下の国の場景描写は美しくも仄暗さを思わせるもので、私は拝読させていただいていてとてもワクワクいたしました。松明の火が与えてくれる安堵といったら!必死に状況に抗おうとする主人公の少女らしい強さと脆さ。人ではない協力者の謎めいた魅力。懸命に生きようとしている人々の優しさ。どれもが心に残ります。そして、読了感は爽やかで明るい未来を予感させるものでした。素晴らしい作品でございました。