1、疫病 (2)
小屋に出入口はない。
村の掟で、呪いにかかった者が出たら、その家族全員が強制的に『隔離の小屋』に移される。呪いは
誰も出入りしないから出入口は必要ない、という建前なのだ。
竹の骨組みに
顔に夜の涼しい風が当たり、気持ちがいい。
コティとノイには悪いが、小屋の外に出るとほっとする。
残された大事な家族。けれど一緒にいると、辛い現実と向き合わなければならない。
(痛み止めが必要なのは本当のこと……)
だが、それを口実に息抜きをしたかったのも本当だった。
小屋の外をぐるりと竹垣が囲んでいる。竹垣といっても、両手を広げたほどの間隔に竹を立て、膝と腰の高さに細竹を横に渡しただけの簡単なものだ。
これより中に外の者が入ってはいけない、中の者はこれより外へ出てはいけない、その目印に過ぎなかった。
昼間は手の空いた村人、たいてい年寄りが見張りをするが、夜は誰もいない。
これでは見張りの意味がないが、あるいは、こうして夜に抜け出し、村を去ることを期待しているのかもしれない。
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