あたたかな食人

きわめてじゅうようちゅうこう

 このさくひんはフィクションであり、じつざいじんぶつだんたいとはいっさいかんけいありません。とくに、さくちゅうけんきゅうせつのモデルとなっただんたいそんざいせず、またこのようなけんきゅうさくしゃにんしてあらわしたものではありません。あらかじめごりょうしょうください。




 ぶんひだりうでをちぎると、

いたくないの?」

 はたされたうでをまじまじとながらこと

くもわるくも、そういうからだだから。」

「そっか。」

 “つうせいかつ”はここにはない。

 おたずものおれたちは、ただいちにちいちにちきるのでせいいっぱいだった。

 ごろおおきさにって、れいとうう。

「またれいとうれといたから、きなときべて。」

「ありがと。」


 おれかのじょも、にんげんのエゴがんだものだ。

 かのじょぐんようたいどくへいのプロトタイプ。しんたいのうりょくひとよりややたかく、使ようれいのあるせいぶつへいほとんどにたいせいいっぽうめんえきけいとうおおはばくわえられたけっ、ほぼすべてのしょくもつたいしてつよいアレルギーはんのうこしてしまうようになった。けんきゅういんがテストしたよんまんえるりょうのうち、けいこうせっしゅのうはんだんされたものは、いちかんきつるいなんすい、そしてじんにくだけであったという。

 おれかのじょどうようへいとしてされたにんげんで、さいせいりょくきょくたんたかく、つうかくほとんどない。さいせいりょくたかいイモリのでんるいがくしゅうしょくでんほどこすことできょうさいせいりょくかくとくしたのだそう。

 むかしはなしになるが、あるとつぜんけんきゅういん一人ひとりどくだんけんきゅうたいしょうであるおれかのじょふくにんかいほうした。とうぜんそうしたあやしいせつなのでないからもはんかんうことがおおかったが、システムをかんしているのがせつじゅうしょくばかりだからなのか、そうしたことはいままでこったことがなかったのだ。

 とうとつそとかいほうされたおれたちはせつからのとうぼうせいこうするものの、すぐにほうれることとなった。そこでおれおなじくけんきゅうたいしょう一人ひとりともにんげんしゃかいみながらせいかつすることをえらんだ。とうぼうちゅうほかなかとはバラバラになってしまったし、ほぼせっしょくのうちかかのじょごろしにはできなかった。


今日きょういえまえあやしい人がいたんだ。」

 おれいっしゅんうごきをめる。このどうようさとられたら、かのじょあんにしてしまうことだろう。

「ここも、もうダメか。」

「どうする? こんなはやいとおもわなかったし⋯⋯」

「うーん⋯⋯」

 しばらくだまっていると、ことくちひらく。

「あの⋯⋯しんくんがければなんだけど、」

 ひろげてしたのは、せつむかししょゆうしていたさんりんだった。

「ここ、もとじっけんようとしてられたんだけど、しつこうわってすこししてからせきにんしゃ行方ゆくえをくらましたとかなんとかですぐにとんして、やっかいばらいでもするかのようにそくさんもんばされたらしいの。」

「ここにもうって? たしかにいままでとくらべるとつかりにくいとおもうけど⋯⋯でも、いまべつしょゆうしゃがいる。」

げんざいしょゆうしゃは、にいじまりんぎょう。ほとんどへはけられないし、がいじゅうたいさくにフェンスがられてるがいけいがされてるようもない。」

「⋯⋯。」


 ばんさくきた。このままかえられてじっけんっているのだ。

ていこうはやめろ。われわれけんきゅうたいしょうきずつけたくはない。」

 けんきゅういんめいがこちらにじゅうけ、もう一人ひとりぜつしたことっている。

 しかし、るとじゅうかまえているけんきゅういんかたほうおれいくかんで、あとの二人ふたりらないかおだ。もしかすると、といちのぞみにけてくちひらいた。

こうさんします。かいあくしゅを。」

流石さすがわれわれだ、ものかりがい」

 うがままにじゅうろしみぎけんきゅういん。そのつよにぎり、いっしゅんひるんだけんきゅういんかるこする。

 いくかんあわてておれつ。じゅうだんくびすじつらぬいたが、このていではめいしょうにはならない。かんはつれずにそののどもとつかみ、おなじようにこすった。めいげるいくかんげようとするもう一人ひとりけんきゅういんからことうばい、じゅうげきてつこすとそのままうしなってしまったので、ほうしてけんきゅういんらがってきたがたトラックにみ、はっしんおもわれるはずしてそのはなれる。


 アカハライモリはフグどくとしてられるテトロドトキシンをぶんぴつできる。いくらイモリのでんちかいとはいえぶんぴつこうまでそなわっているわけではないのだが、このじょうきょうねんまくへのせっしょくはかればどくするのはとうぜんだろう。いくかんとしてはあまりたかくないので、こまかいせいたいらされていないはずだ。

「⋯⋯んう⋯⋯。」

 ことました。すでけんきゅういんたちのトラックはて、べつくるまっている。

あいは?」

「うん、まあまあ⋯⋯。」

 みちそうされているが、それでもときおりくるまおとててれる。

れいけん、ダメだったよ。りんぎょうけいがいかたかったし、それをなしにしても、いまだに施設ヤツらひかってる。もとあぶないれんちゅうもいて、ぜんとっするのはだ。」

「そうだったの⋯⋯ごめんなさい。」

「いいんだ、にしなくても。」

 ほんしんおれはそうこたえていた。


 カーブのはげしいみちを、わないエンジンおんつつむ。

 かれらのさきだれらない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る