鴉と鱟

 れいぼうかんじゃないときゅうもしんどいようななつしずんでなんとききっみせまどきのカウンターで、こんなあついとかいだんでもたしなみたくなるわなんてはなしからはってんして、かいだんってのはうそだらけか、ほんものがあってもさしてこわくはないものだねとわたしうと、そうでもないよとってかたした。




 なんとかというむらばばさんにまごがおって、みやこからたまにかえってきてはじゅうをそこですごしてまたみやこへというかんじだったそうなのだが、なに田舎いなかもりかわほかくものがなく、おさないうちはむしとりだのさかなとりだのとたのしそうにやっていたかれも、としとおにもなると、むらてもあまりはしゃぐことがなくなり、退たいくつそうにむらをうろうろしてはあかるいうちにかえってきてしまうようになった。むらどももいることはいたのだが、かいにんげんむらどもとはなしわなければこのあそびもまるっきりちがったようで、けんとかそういうくうはなかったものの、たがいに態々わざわざしたしくするまでもないというかんけいで、るうちからビデオゲームをいじっていたのを、ばばさんはくちにはしないもののにかけていた。

 そんなことがつづいたそらあかくなるころまでまごかえってないものだからばばさんがしんぱいしていると、ひらくとともこうふんはなしをしす。うには、とても可愛かわいらしいはなしかけてきて、やたらかいのことをりたがったのでおしえてやるとひとひとつにあいづちってはわらいかけてくれ、またこのむらのこともはなしてくれたのだと。それからまいにちしずむまでそときそのはなしをするようになり、かえってきては嬉々ききとしてそのはなしをするものだったので、いちばばさんがそれはどこのかとくと、らぬ、という。そのまえにするとまえくのもわすれてしまうのだとみょうなことをったが、こんいてくるよとったきりしょうじょばばさんもまごらないままなんにちぎていた。まごかいではありふれたことなのかそんな調ちょうだし、ばばさんはばばさんでああトメさんかなとうっすけんとうもついていたため、あまりにはならなかったのだ。

 さてなんにちもするとかれらぬしょうじょにすっかりかれており、そのころにはかのじょへのけいかいしんまったくなく、それゆえむら大人おとなたちがあぶないからとどもをちかづけさせないほらかのじょこうとうと、あまりかかわりのないむらにんげんうことよりゆうせんされるのはかれにとってとうぜんのことで、こっそりこうねなんてわるみをかべたそのかおすらいていた。そのほらくら湿しめっていたがなかせまくなく、またあしもといわ大人おとなたちがうほどすべりやすかったりするということもなかったのでそのままいわこしろすと、そのひざうえかのじょがひょいとり、とつぜんこうった。


 だんしたね。


 ばばさんのまごはそのたちいりきんほらつかって、んでこそいないもののなんだかおかしくなってしまったらしく、わけからないことしゅうくちにしていたそう。むらではそんなふうなことがなんき、さいしゅうてきにそのむらおそれてじゅうみん一人ひとりもいなくなってしまった。

 それと、けっきょくばばさんがそうだとおもっていたしょうじょしょうねんくちいたこともないらしく、かれまいにちのようにはなしていたのはだれであるのかすらからずじまいだった。




 うーん、とわたしうなったのち、こわいとえばこわいけどけっきょくつくばなしじゃない、とかたすくめるとかのじょはどうしてとうた。はなしかえったひとがいないからつくばなしなのがバレバレなのよとわたしとくげにうと、かのじょなんともえないかおをしていた。


 かのじょとはそれなりになかかったのでそのすうじつなんにんかのゆうじんひゃくものがたりでもしてすずもうというはなしになって、わたしさいはなしえてまんぞくし、でんねむろうかというそのときに、わたしみみもとかのじょがこうささやいたのだ。




 だんしたね。

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