タナバタ?

は? ねがいごとめた?」

ねがいごと、かぁ⋯⋯」

 11さい七夕たなばた。わたしにはじゅんしたふたつのおもいがあった。

 このとしになって鹿らしいというち。でも、明日あしたねがいごとをすれば、ひょっとしてかなうんじゃないかというち。

 しょうらいゆめ。それがあればまよわずたんざくくだろう。そんなものはないし、ちゅうがっこうじゅけんするつもりもないし、きなひとべつに⋯⋯いや、いないといえばうそになるか。

とくに――ないかな。」

「えーそうなんだ、あったらたんざくつだってもらおうとおもったのに。」

 ん?

たんざくつだうって? あれじんじんくやつじゃない。」

「そりゃ、くのはね。そうじゃなくて、わたしいたいのはほう! ――ここだけのはなし、じつはきょねんからそだててきたんだ。」

そだててきた――って?」

「あ、たい? 今日きょううちる?」


「じゃじゃーん!」

 せてきたのは、

こい? なんで?」

 すいそうには、すぐにはかぞえられないりょうこいひしめきあっていた。

「あー、もしかしてたんざくぶんったことない?」

「ないけど⋯⋯。」

「そっかそっかぁ。」

 そうってぞうこいいちつかみ、つくえせる。

「えっ、なにしてるの!」

「まぁてなって。」

 こいからぁそくめんを、ゆびでくるくる、くるくるとなぞる。5しゅうすると、

「うーん、ダメかぁ。」

 とくちにして、こいうらがえし、おなぎょうつづける。その、もう1つのからすいそうにそのこいれる。

かった?」

「えっ、いや⋯⋯いやかんないよ、えっ、なにこわい!」

なにこわいのよ、こうくるくるっとなぞればいいだけ。かんたんじゃないの。ほらもやってみて。」

「えぇ⋯⋯」

 わたされたこいを、かたなく、くるくるとなぞる。するととつぜん、うでゅん、というみょうおとが、こいくちからはっせられた。こいくろぬめったぶったいしたのだ。

「えっ、なに! なによこれ! !」

 あけってわたしはこいからはなれる。

「あらぁ、いっぱつでアタリをくとは、ってツイてるね。」

 ぬめったぶったいつまは、どこかうれしそうだった。

「これね、あらうとけっこうれいになるんだよ。」

 みずあらいしてぬめりをとすと、ぬるぬるしたくろなにかは、キラキラとひかなにかへ姿すがたえた。

きんいろなんだけど、かたちえだみたいでかわいいでしょ?」

 したそれに、わたしはおもわずあと退ずさりした。

「これでたんざくはいるね!」


「――で、これをたんざくこうかんしてもらえるってわけ。」

こうかんしてもらうって、どこで?」

「どこって――そりゃ、のうりんすいさんしょうまってるじゃない。」

のうりんすいさんしょう!? いまわたしたちのうりんすいさんしょうかってるの!?」

「そうよ。うけつけせると、たんざくえるの。ぎんえだだと5ほんで1ダースなんだけど、これはきんえだだから1ほんで1ダースもらえるの!」

「どこかでいたことあるシステムね⋯⋯。」


 1ダースのたんざくにはそれぞれようがあるらしく、みどりけんこうあんぜんあおいろがくぎょうしょうぎょういろきんうん、ピンクはれんあいくろじゅしろはその、らしい。6しょく2セットだったので、いっしゅるいずつもらっておいた。

 そしてよくじつ。わたしはれんあいとそのたんざくまどかざった。

 そのせいだろうか。ねんいちほし、わたしがかまぼこにいかけられるゆめたのは。

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