第6話

※この物語はフィクションです。実在する団体、人物とは関係ありません。






親善試合当日。

陸高の親善試合専用よ部屋に俺たちはいた。親善試合のルールは、基本勝ち抜き制。けれど人と人との交代が認められている。

俺達の作戦はどんな人でも対応出来る太刀奪を戦法に置き、その後ろはこちらオペレーターが各自判断していく。

「頑張ろうね。鎧亜くん」

「はい!」

「ありゃ?影戦わないの?」

黒髪に赤メッシュの他の人よりは小さい男の人が、佐藤先輩に挨拶をする。

「ごめんね。けがしちゃった。」

「それはお大事に。」

「海風高校。2年序列1位。根元エース名前を富澤陽太。今日はよろしく。」

陽太と名乗った男は俺に手を差し出してくる。その手を俺は握る。そこから自己紹介が始まった。

「3年序列3位皇帝キング阿部光太郎。」

「同じく3年序列4位女帝クイーン七森明日香。」

赤髪を揺らした、顔の整った美青年が光太郎さん。緑のボブくらいの長さの髪をしている人が明日香さん。

「3年序列1位斎場直人。」

「3年序列2位斎場美香。2人とも切り札ジョーカー

斎場と名乗った瓜二つの少年少女は高校3年にしては背が低く、顔が隠れるほどの黒髪を垂らしている。

「1年序列10位阿部鳴斗。兵士ジャック

黒髪の少年がサラリと挨拶をする。海高の人が自己紹介が終わり俺たちの番になる。俺たちはサラッと自己紹介を終わらせる。

「あっあっはぁはぁ。」

僕は時計を確認する。時刻は10時過ぎ。普段なら学校にいる時間だが今日は休みだからここにいた。ここまで自分が寝過ごしたのが珍しく少し驚く。周りを見渡しても、同居人の姿はなかった。外はあいにくの雨。雨足は午後に早くなるとのこと。雨か。水使いとして浴びてくるのも良いと思うが他の僕に怒られそうなので辞める。あの子はいつまでひきこもっているのだろうか。どうにかして引き出さないといけない。その時は同居人の2人に頼ることにしよう。

「一番最初に皇帝のお出ましかよ。」

俺は先程皇帝と名乗った相手と対峙していた。皇帝はどこからともなく槍を出現させ、その槍を回している。

「頼んだよ。神槍グングニル。」

そう皇帝が言うと槍を投げてくる。俺は、身体能力上昇、土属性の土壁、高密度エネルギーをシールド状にし、槍を受け止める。槍は土壁をいとも容易く貫き、高密度エネルギーのシールドをも貫く。身体能力を上昇させていたおかげでそこそこのダメージにはならなかった。

「それを止めるのか!どんな能力なんだろう?」

「一くん。もうちょい待ってね。解析完了するから。」

「あと何分?」

「2分。」

2分とか結構きついぞ。俺が伝えられているオーダーは透明化等の能力を使わずに相手の太刀を受け流すこと。透明化禁止の縛りが結構きついな。1度相手を視認する。そうして1度目をつぶり大きく息を吸い、息を吐く。目を開く。

「魔槍グングニル!」

そう俺は叫ぶ。相手は驚いたような顔をしている。

「グングニル!?僕の神槍を?」

「物体を創造する能力。あなたのが神の槍なら、魔の槍。魔槍グングニル。」

そういい、俺は創造したグングニル(ただの槍)を皇帝めがけ投げる。それを神槍で弾き落とす。地面に着いた槍を呼び寄せる。その瞬間一気に距離を詰め、つきを放つ。それを難なく槍で受け止められる。似非の使い手では足元にも及ばないか。けど魔槍なら勝ち目がない訳では無い。1度距離を取り、魔槍を投げる。相手の1m前ほど前に行ったところで槍を9本を創造し、槍の物体軌道を変え、9本の槍を上から円を描くように落とす。槍を回して、すべて弾き飛ばされるが、下から1本槍を出す。槍が少しだけ入るがかすり傷程度。

「2分ちょっきり。おつかれ。」

「じゃあ任せましたよ。虎口先輩。」

「よし任された。」

俺は虎口先輩とハイタッチをし、裏に戻っていく。

後輩くんのあんな勝負見たら燃えない、先輩なんて居ないよね。闇の玉を12個ほど出現させ、放つ、それから時間差で2個ほど闇の玉を前から、その後後ろから8個ほど飛ばしてやる。槍使いには時間差や、複数方位から攻めるのが定石と師匠が言っていた。

師匠とあったのはあれは確か6000年ほど昔、いや6年前くらいだったか?最近自分の記憶と、能力であるルシファーの記憶が混濁し始めている。能力の弊害といったところだろうか。

「切りジョーカー頼んだ。」

相手の皇帝と名乗った男は小さな男の子に変わる。切り札と名乗った少年は軽そうにハンマーを軽く降り、雷を落とす。俺はそれを避けるが出していた、闇の玉が全て消える。あまり使いたくはなかったが、

「堕天使ルシファー。力を貸せ。」

「貸してくださいだろうが。クソガキがっ!」

俺の体から翼が生えてくる。そうして。俺の意識は落ちていく。

「あっ!?てめぇトールじゃねえか。めんどくせぇな」

俺はあのクソ人間から体の自由を奪い、闇の力を体に纏う。あの人間は1番やりたくない、技らしいが、あいつの体調なんか俺が知るかよ。トールはハンマーを軽く振り下ろし雷を落とす。それを飛びながら回避し、空中戦に誘う。空中で闇の玉を幾つも出現させ、トールめがけ放つ。闇の力が少々弱まっているが、それはお互い様のようで、雷の威力がだんだん下がってきている。

「体術戦だよ!」

機動力で優っている俺は色々なものを足場にして、縦横無尽に駆回る。トールはそれに翻弄されずにハンマーを降っている。足にあたり結構なダメージを貰ってしまった。いやらしい戦い方だ。あのトールのやりようとは思えないな。

「お前誰だ?」

「名乗ったはずだが?海高の切り札と。」

「おめーが切り札?笑わせるなバカが。」

翼で相手のことをたたきつけながら次の一手を考える。俺の利点は遠方からの砲撃、それと翼での機動性。 そう6年前師匠は言っていた。違ぇこれは俺が見つけた自分の利点だ。あの師匠とやらが見つけたわけでは。チラリと懐かしい顔ぶれを思い出す。第4天使と呼ばれていた同期共。名前も覚えてすらいねぇ。そうして師匠の顔。名前は確か、尼口南乃花。南乃花師匠とそう慕っていた師匠。懐かしい。いや違うこれは俺の記憶じゃねぇ。あいつの人間の記憶だ。俺が触れてはいけない1部。人間に感情移入なんかしてもなんの得はない。結局こいつは俺がのっとって殺すのだから。

「どうした?攻撃の手が止まってるぞ。」

「黙れガキ。」

闇の玉で相手の手を狙う。それを何度かし、ハンマーを落とす。そのハンマーを拾って服の中にしまう。そうして翼をしまい、意識を人間に戻してやる。

あいつ暴れやがって。体が少々いてぇ。闇の力を解放し、玉を複数個出現させて切り札にめがけ放つ。それを数個かわすが、2発ほどヒットしている。切り札は俺にめがけ蹴りを放ってくるが、それを腕で止める。おいおいトールのハンマーはどこにやった?

そんなことを考える暇もなく、追撃がくる、右のジャブからの左ストレート、見え見えの行動を余裕で避ける。なるほど。珍しくあいつが協力してるのか、と言っても体術なら専門がいるよなこっちにも。

「東堂ちゃん。出番だよ。」

「任された…」

東堂ちゃんとハイタッチをして裏に下がる。

「ハンマー取られちった。戻れば帰ってくるから、1回下がるね、明日香ちゃん任せたよ。」

「あい任された。」

出た瞬間私は相手の女性めがけ大地を蹴り走り出した。距離が1mを着る程度の時に能力を行使し、足の筋力を上昇させる。互いに足がぶつかり、激しい轟音が鳴り響く。お互いの力は5分と言った感じ。笑みを浮かべている。

「明日香ちゃんって言ったっけ?楽しいよねこの勝負。」

「うん!」

元気いっぱいに明日香ちゃんが返事をする。手と手を掴みいがみ合っているが、互いに笑みを浮かべている。それから数秒し、膝を腹に放り込んでみる。けれども、受け止められる。簡単にまけられてはこちらも困る。1度距離を取り全身の筋力の上昇させ、泥臭い殴り合いを始める。拳と拳が、脚と脚がぶつかり合う。彼女とぶつかり合う度に生を実感する。そうして少しづつ息が切れてくる。彼女の集中が途切れた瞬間、顔面に思い一撃が入る。もう終わりかと思った瞬間彼女は殴られたはずの顔を後ろにさげ、頭突きをしてくる。頭にもろに入るが、逆に腹に1発重いのを入れてやる。グハッと唾を吐いて意識を失うが、その後すぐに私も意識を失った。

「一くん行ってきて。」

「了解。」

東堂先輩が相打ちで、終わり、偵察的な意味で俺が前に出された。

「皇帝くんなら情報はいっぱいあるか。倒せるよ。」

そう言われて、俺は出てきたのが出てきたのは、俺らと同じ1年の兵士の名を与えれられている少年。皇帝はこれ1番最後だな。とりあえず、1番使い慣れた刀を顕現させる。持ちやすさといい、形といい、慣れない槍よりかはとてもいい。刀を回しながら、相手に近づく、俺の間合いを保ちつつ睨む。相手も獲物を抜く。奴の獲物は日本刀とも西洋剣共につかない、いやどちらの利点も得ている謎の武器。切りに来るのか、突きに来るのか分からない。しかし次第に彼の獲物は日本刀のようなものに変化していく。それを俺にめがけ振り下ろしてくる。それを刀で受け止める。身体能力をかけていないから当然重いのだが、それにしたって限度ってもんがあるだろ。俺がたっている場所は沈んでいる。仕方なく身体能力を使用し、押し返す。それでやっと押し返せた。これと正面からやり合うのか。体全身に水の能力を付与に、動きを早くする。流れる水のような、素早い動きが、可能になる。水の能力ならば、レイピアの方が良いと思い、レイピアを顕現させる。流れるような鋭く速い突きを放ち続ける。それを全て受け流されるが、相手に攻撃の隙を与えない。

「一くんごめん。あと2撃耐えて。」

「はっ!?オーダーが多いです!」

仕方なく、大剣を顕現させる。仕方なく、水の力を解除し、炎を纏う。火力が少しづつ上がってくる。受け止める程度の火力なら出てきた。

先程の攻撃を受止め、隙を貫く。距離を取られるが、こちらが詰める。それの後2回目の太刀を受ける。

「OK解析完了戻って。」

「やっと俺の出番か。」

光の玉を散らしながら放つ。剣に光を宿し、不可視の剣にする。あまり強みは無いがそれでも使いやすいのでやる。

「白夜先輩。右右左右右、上からの切りつけ。」

左に避け、もう一度左に避け、左からの太刀を受け流す。2連の右も後ろに下がりよけ、切り付けを剣で受け止める。あの子どうやってこれ止めたのおかしいよね。後ろに下がり剣を床に落とす。勢いで、床まで落ちる。

「次左から3回。それ避けたら隙ができるから1発入れて。」

「根元任せました。」

「変わるからこっちも変わるよ凛ちゃん。」

「2年どうしお手柔らかに。」

「こういう遠距離武器ってさひとりじゃなんも出来ないんだよね?」

互いに弓を使う使い手同士。弓使いなら同意するであろうことを言ってみる。

「分かるけど。能力があるからね。」

「そうだね。」

後ろからチクチク弓を撃ってみる。それは余裕でかわされる。なので距離を詰め、飛びながら空中で弓を放つ。それもかわされたため泥仕合が確定した。と思った瞬間40ほどの矢が私を貫いた。チートやろこんなん。

「影狼くんやな。これは。」

「はい。任されました。」

影狼くんは王に使える兵士のように跪きながら、私の帰りを出迎えた。

星見先輩が、負け俺が戦場に出る。星見先輩は弱い訳では無い。どちらかといえば強いに入る部類だ。これはいつもの人の姿では勝てない。そう確信した。これ以上完全に狼になるとどうなるかは分からない。もうとっくに自分のキャパはオーバーしているのだ。みんなには心配をかけたくなく、言えていないが、これ以上狼になると、理性も吹っ飛ぶ可能性があると医者に言われている。

「まぁ、価値は譲れねぇよな。男なら!」

そう叫んで能力を完全行使する。耳が生える感覚、しっぽが生える感覚、鋭い爪が生える感覚、そして自分の体が大きくなり、毛が生えている感覚。俺の理性を保てるのはここまでだ。後は敵を示す、それしかもうできないのだ。

「ガルルルルルルルルルルルルルルルルルル。」

「おいおい化け物じゃねぇか。」

そうして俺の意思が戻った時には根元は居なくなっていた。けれど自分の体もボロボロだった。

いつもとは違う、野性的な戦い方。戦略なんてものはなく、真正面から敵を殺すだけの攻撃。立ち回り。根元のやも当たってはいる、当たってはいるのだが、影狼くん、いやフェンリルの強靭な肉体に弾かれていく。それから何分たっただろうか。フェンリルは根元を地面ごと切り裂いた。そうして、影狼くんに戻っていく。しかし彼の体はぼろぼろである、そして何より頭から犬のような耳が生えている。

「影狼くんは使えないな。」

ボソリと佐藤先輩がつぶやく。

「こちらが劣勢ですが誰を出します?佐藤先輩。」

東堂先輩、星見先輩、そして影狼くんが戦闘不能。対する相手は根元と女帝が戦闘不能。単純な話誰かが2人を倒さなければならない。トールとオーディンの能力を持っている。1人は一でも抑えるのが精一杯になるほどの力の持ち主、最後は不明。内高校の精鋭である、先輩たちが弱い訳では無い。弱い訳では無いのだが、いかんせん相手が強すぎる、白夜先輩が、どこまで戦えるかで、決まる気がする。

「白夜先輩に行ってもらうかな。」

「ちょっと待ってもらっていいですか?なぁ一、闇の力ってどれだけ入れれば、5分で死ぬ?」

「闇の力?あー属性のあれな、5分となりゃ俺の全闇の力を込めても行けるかどうか。」

「俺の憎しみの力はその能力に効果はあるか?」

俺のでは無く、もう彼のではあるが。忘れているようなので聞いてみる。そうすると一は悪い笑みを浮かべる。

「確か効果がある。それなら行けるな。んでどうするんだ。」

「単純さ、今君が出ていって全力の闇の力を放つ、その後に、虎口先輩に闇を打ったり飛び回ったりして時間を稼いでもらう。」

俺は幼馴染はとても悪い顔で笑っていた。それは周りから引かれるほどのものであった。

「久々に頼むぜ相棒。」

「ああ。」

俺は一とグータッチをする。確かに能力を奪われた過去は消えないけどそう思いながら空を見る。そこには雲ひとつない快晴が広がっていた。

幼馴染の悪い戦略に乗った俺は戦場にたっていた。出てきたのは確かもう1人の切り札。大きさは同じくらい。

「私が持てばどんな鈍い武器でも、神を貫く、神殺しの刃となる。」

そういい、レイピアを顕現させる。まぁ戦いやすい武器だ。最大火力の闇の力を貯める。その間も、相手はレイピアで着いてくるが、俺は空間を作る。絶対的な鉄壁、傍から見ると俺はたっているだけだが、その空間はどんなものも通さないそう思っていた。

「てぇあ」

その叫び声と一緒にガラスが割れるようなパリーンという音がする。

「これを割るのか。けど、ゲームオーバーだ。」

炎、風、光、闇の玉をいくつも作成し、相手に、目掛けて放つ。その時に一番憎い、あいつを能力を持ったまま助けられなかった、自分自身の顔を思い出す。憎いという感情が自分自身を支配していく。

炎、風、光は弾かれるが、闇の珠は全てが当たる。思った以上に火力があったらしく、切り札は消し飛んだ。

「わりぃ。やっちまった。」

「いい。戻ってこい。」

落ち着いた幼馴染の声が聞こえてくる。俺を責めるような声音では無いので、一安心だ。

「まぁ作戦通り虎口先輩に任せようかな?」

「任された。」

ヤベーなあの子。さて俺の相手は誰かな?

切り札が出てくる。確かトールの子だったか。これルシファーに任せないで倒せるか?多分本人は早く俺を出せとか思ってるんだろうけど。どうやってあいつを撤退させたんだルシファー。先程の戦闘でだいぶ力を消費していて、起きていない。

まぁ闇の玉を何個かだす。それを前から飛ばしていく、その後ろで玉を何個も顕現させておく。それを曲線を描くように飛ばしていく。しかしそれはトールの雷で一蹴させる。これだけの雷何度も出せるわけが無い。なら、これを何度かやってみる。そうすると少しづつ、雷の力が弱くなり、「はぁはぁ」と切り札の息が切れている。

「これで終わりです。」

大量の闇の玉を顕現させて、色々な軌道で放出させる。それが12個当たり、致命傷を入れられた。相手も確かに疲労しているが、こちらも疲労しているのだ。まだ闇の玉を飛ばすが軌道制御がおぼつかない。また相手も雷を落とす。少しだが闇の玉が消える。そんな泥沼戦が続くが、その時は来た。

パタリと俺が倒れた。

あれ師匠なんでこんなところにいるんですか?師匠は俺の問いには答えない。師匠に駆け寄ってもそこに師匠はいない。どういうことだろう。そこで俺の意識はとだえた。

「白夜先輩任せました。」

つかの間の晴れ。快晴だった。空はずっとそうであったかのように雨が降っている。心無しか晴れる前よりも雨足が増しているように感じる。

僕が戦場に出る。

「おっ大将戦と来ましたか。」

「お手柔らかにどうぞ。」

そうして互いに獲物を抜く。右足を見ると、少々のかすりきず。そこからは少しだけ闇の力を感じる。彼結構やるんだ。俺を先程抜いた獲物をさやに収める。

「たまには体術で行きましょうか。」

一気に距離を詰めて、蹴りを放つ。それを皇帝は槍で止める。その槍を支点にして跳躍をする、皇帝の後ろに着地。そこからは背中にパンチを入れる。しかし体を横にそらしてくる。こちらを向いて、槍でつきを放ってくる。私はそれを手で止めるが、片腕が吹き飛んだ。

「さすがは神具。」

さて非利き手の左腕が残ってしまった。足技を主軸に攻めてみる。片腕というハンデを背負った私は、直ぐに突破されてしまう。

「まぁ一くんが何とかしてくれるでしょ。」

「そんな投げやりな!」

「さて皇帝よ。もう俺の力が回っているはずだ」

「なんのこと、これか。正真正銘魔槍だったわけか。ハハッ。出し抜かれたよ。で君の能力は?」

「人の能力を奪って行使する能力さ。」

パタリと皇帝は倒れた。1番最初の槍に闇の力を付与していた。それだけだ。

「さて太刀奪。あなたを私は倒さなければならい。」

「それはこっちもだ。兵士よ。」

私はあの時盗み聞きをしていた。皇帝が私を拾ってくれた家の者であったということに驚いたがそれより、皇帝が私の事を護るため刃と称してくれたことが嬉しく嬉しくて、たまらなかったのだ。

「私は護るべき場所が、護るべき人がいる。それを守るために、この刃を振るう!」

「じゃあてめぇの場所も、人も、刃も全て全て奪ってやるよ。太刀奪の名に、そして俺の能力にかけて。」

それから一と、兵士の戦いは激化した。自分達の獲物がぶつかる度に火花が散り、一が能力を全行使しても、兵士は倒れない。単純な出力なら、兵士はもう倒れている。けれど兵士は、能力の出力だけではない、立ち回り、太刀筋、どれをとっても、一流だ。俺は勝てるのだろうか。この兵士という人間に、無能力者である自分は。もしかしたら、何年、何十年もしくは何百年かけても彼らの足元にも及ばないのではないだろうか。そんな不安が頭に浮かぶ。どうやって勝てばいい。

「君じゃない。今は違う。今戦っているのは一くんだ。確かに君じゃ勝てないかもしれない。けど」

声の主である佐藤先輩はニッコリと笑って。

「彼なら勝てるかもしれない。だから僕達はオペレートをするんだよ。」

そういう佐藤先輩の、声は震えていた。その震えは、勝てないかもしれないとういう不安からなのか、凄い試合をオペレートできるという興奮から来るものなのか。いやきっとどちらもだろう。

「一。あの詠唱は何秒。」

「あれは無理だ。そんな隙はくれない。詠唱なしでも打てないことは無いが、能力のタイミングがずれるから、力は出ない。」

さてどうしたものか。もし炎舞くんなら舞で、影狼くんなら狼化で、剣くんなら炎の大剣で倒せるかもしれない。いや待てよ?

「一。炎の大剣を作って、身体能力強化と、属性強化で火力が出るんじゃないか?」

俺は一に提案すると、一は提案どうりやってくれる。

一の剣と兵士の方が真っ向からぶつかる。

「行っけぇぇぇぇぇ」

この場にいる全員がそう叫んだ。けれど結果は以外にも一が押し負けた。そうして心臓を貫かれ。こちらに戻ってきた。

全員で外に出ていき、

「ありがとうございました。」

そうして俺たちは雨に打たれて帰るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る