第3話

※この物語はフィクションです。実在する団体、人物とは関係ありません




体育祭1日目はやってきた。

全員が1Aのクラスに入り自分達の席着く。本を読むもの周りと話すもの、多種多様だ。

ガラガラと音を立てて教室前方の扉が開く。どうやら坂田先生が来たようだ。坂田先生はジャージを着ている。しかし坂田先生の手には謎の紙が1枚握られている。そして坂田先生が教団まで来ると黒板にその紙を貼る。

「トーナメント表だ。一応予定時刻も書いてあるがあまり信用するな。」

そう坂田先生が言うとトーナメント表の前にみんなが集まり出す。俺はその光景を眺める。後で見ればいい。

「先生。このクラスの下にある文字はなんですか?」

誰かがそう聞くと、坂田先生はニヤリと笑みを浮かべてこう言う。

「それはそのクラスの代表的な人物だ。」

先生がそう言うと数名を覗いてみんな、あからさまに嫌そうな顔した。このクラスで嫌われてるのって俺だよな。もしかして俺の名前が書かれているのか。

「なんでこいつなんですか?」

炎舞君が俺を指さしながら言う。俺はどうすればいいのか分からずあたふたする。

「ばーか。こっちがこいつ以外の能力者を出した場合そいつの能力も掲示しないといけない。そうなると手札を晒すことになる。もう戦いは始まってんだよ。」

大半が納得がいっているが数名納得がいかないらしい。しかしそんなずるい事ありなのだろか。案外坂田先生は策士なのだろうか。

俺は一応トーナメント表を見に行く。俺らの対戦相手はE組で下には属性と名前が書いてあった。水属性で雨水雨竜という名前だ。

「お前らはもうすぐだから席つけ。それ転送装置だから。」

凄いことを知った俺たちだった。

そして俺らはコロシアム的なところに転移されていた。周りには人がいないようだ。相手もまだ来ていない。

俺は数分待たされて敵が来た。平均身長を集めたような身長の集団がはじめ来る。しかしそのあと1人でかい人が来る。190はあるだろうか。そこまで身長の低くない俺でも見上げないと顔が見れない。

「両チーム入ったということでよーいドン。」

校長のふざけた声で戦いの火蓋が切られた。

各々が戦い始める。俺はあの高身長を探すがどこにもいない。空間系で隠れたか。一応小さな通信機をつけた蝶に言う。相手からの応答には数十秒程かかったたが了解とだけ返事が来る。

ならば別の敵を探し攻撃する。できるだけあの銃は使わずに体術と短剣で戦う。こんな乱戦はあまり得意では無い。だが以外と一体一に近い戦いだ。3人ほどを倒したところで違和感に気づく。足元に水が流れ始めている。目的はなにか分からないが不味い俺の本能的な何かが叫んでる。こちらも5人くらいが倒されている。そう思考している間に黒髪で目が隠れている少女が俺に切りかかってくる。少女の武器はどうやら大鎌のようだ。俺は少女の攻撃を、大鎌が届かないであろう所まで後退する。しまった。この間合いだと俺のナイフは届かない。だからといって銃は使えない。しかし相手も遠距離武器は無いのか詰めてくる。概念か身体能力か。どちらにせよなんとかなる。俺は敵の攻撃を左足を軸に周り回避して1歩踏み込んで、短剣を突きだす。相手はこれをよんでいたのか回避する。しかし俺は回避先を読み、2本目の短剣を突きだしておく。グサッ。鈍い音がする。クリーンヒット。お腹に当たったようだ離脱とまでは行かないが致命傷を与えられた。そこに畳み掛けるように連撃を放つ。どうやら目の前の彼は離脱したようだ。最後に少女は笑みを浮かべ口元を動かす。声は出ていない。なんと言おうとしているのかも分からない。

誰が生きているかを声をかけて確認した後、俺は周りを見る。倒された人数は五分五分というところだろうか。それより先程より水位が上がっている。今は腰まで来ている。動きづらい。そんなことを考えていても敵はよってくる。赤髪の少年だ。赤髪は俺に向けて炎弾を放つ。俺はそれをかわして距離をつめる。どうにも動きづらいが何とか速度を出し近寄り蹴りを放つ。赤髪はそれをしゃがんでかわすが水の中に半身を突っ込むことになる。それを逃さず水の中にナイフを突き刺す。当たったようだ。またもヒットして今日は調子は悪くないんじゃないかと思いながら辺りを見渡す。残ってるのは10名ほど敵はもう1人も見えない勝ちかと思ったが水位は増している。水位の上がる速度は速くなり気づけば首元まで来ていた。どうすると考えるが水位はどんどん高くなる。そうしてほとんどの奴らが水にのまれた。

「ごぼごぼ」

段々と息が続かなくなる。そうして溺死で離脱する前に見たのは水を泳ぐ大きな龍の姿だった。

「あーなんだ。1回戦負けだがこのトーナメントには敗者復活戦がある。そこで2位以上になれば復活できる。2位以上をめざしてくれ。」

先生は少し申し訳なさそうにそう言ってくれた。どうすれば良いか先生自身もわかっていないのだろう。

「この後の戦いはここでみれるから見たい奴はここにいろ。後は裏で屋台が出てるから気分を晴らしたいやつはそっちにいけ。」

先生がつけ加え、俺はどうするか考える。気分を晴らすなら屋台だが次の対戦相手も気になる。次の戦いだけ見て屋台に行くことにした。

「隣いいかい?」

影狼の声がする。しかしここは学校だ拒絶を見せようとするが彼はそれを見越してこいう。

「みんな周りを気にするほどの元気はないよ。」

そうならばいいのだが。俺は渋々許可を下ろす。 ボーとスクリーンを眺める。代表は神話能力者と氷だ。神話能力者に驚いてると影狼が

「妹」

とスクリーンを指しながら言う。

「へっ?」

そんな素っ頓狂な声を上げる俺であった。

やはり勝ったの神話能力者もとい影狼の妹終界冥子のクラスであった。氷の能力者のクラスはこちらも策を考えれば勝てるはず。

俺は腰を上げて屋台に出向く。裏では1回戦がまだ行われているが俺らの出番は終わったので気兼ねなく屋台を回れる。1人で屋台を回るのはいささかどうかと思うがまあ誘う相手もいないので仕方ない。

そんなこんなで屋台を回っていると1回戦が全てを終わったというアナウンスがなった。このアナウンスと同時に生徒達は一斉に帰る。俺もそれに紛れて一緒に寮へ向かう。

「今日の戦闘どう見る?」

剣くんが俺に聞いてくる。

「水位が上がってることに気づいたがよみをはき違えた。」

うんうんと言いながら剣くんは聞いてくる。普通に勝ち進めればあれをどうにかしなければならない。しかしあんな初見殺しは1度だけ。しっかりと対策をすれば勝てる。そのためには数名の力を借りなければならない。

「影狼くん手を貸してくれ。」

影狼は少し考えて

「断る」

と答えた。なんでや。君も勝ちたいやろ。ガチで勝ちに行くなら本当に数名のクラスメイトの力を借りなければならない。俺がどれだけ頭を下げても無理な気がする。

「別の山に僕の弟がいるんだけど勝ち上がればあいつとやり合うことになるから気をつけて。」

能力は明かさずに弟の存在だけを知らせるか。きっとガチでやり合いたいんだろうなと俺と剣くんは思うのだった。

体育祭2日目

俺は重い目を明けて、定位置にある時計で時刻を確認する。いつも通りの4時を示している。周りを見る。

影狼くんはまだ寝ていて剣くんはもう居ない。俺も学校に行く準備をして鍛錬を始める。鍛錬中昨日を見た龍がなんだったのか考える。神話級のような雰囲気を漂わせていたあの生物はなんだったのか。考えても、考えても、答えは見つからない。俺は、昨日のトーナメント表を思い出す。敗者戦で勝てば、またE組とやりあえる。その時に確認すればいい。その後俺は朝食を取り教室へ行く。

「うーす。今日から2日は敗者戦だ。まぁ頑張ってくれ。」

坂田先生の適当な挨拶が終わり俺らは転送される。今日は氷の能力者がいるようだ。確か名前は田中幸子。

蝶の通信機の調子を確認し、気を引き締める。

敵クラスが入ってくる。そうしてまた校長のあのふざけた合図で試合が始まる。

最初に俺の元へ来たのは白髪の少年だ。少年は一気に距離をつめ、殴り掛かる。俺はこれをかわしながら考える。何系の能力かを。遠距離攻撃のある属性系ではないことがわかったているので、自分の得意分野で戦える。俺は思考をやめて、前方の少年を見つめる。少年と目が合った数秒の刹那、俺は一気に距離をつめ連撃を放つ。彼は余裕という表情で回避する。そこの油断した隙を俺はつくため、ナイフと殴りをおりまぜ攻撃する。彼はこれを回避できずに数発被弾する。彼は引くことを試みるが、そうは差せない。蹴りと殴りの体術メインで攻撃をしてひく隙を与えさせない。そうして俺の蹴りも被弾し、彼は離脱した。俺は時間を確認する。白髪の少年と戦っている間に15分もたっていた。

通信機に助けが必要なところはないか聞く。返答がくる。通信機から位置を聴き、そこへ走る。そこには黒く円状で成人男性1人が入れそうな何かがあった。少しづつ引っ張られる。最初は抵抗をするが、諦めた。その中へはいると真っ暗な空間が広がっている。少し歩を進めるとバッと明かりがつく。

あたりを見渡すと俺と同じくらいの背丈のモヤがそこにあった。モヤは俺に襲いかかる。

右足からの回し蹴り。俺がそれをかわすと回った勢いで左足の蹴りを放つ。これを後退してかわすと、一気につめて短剣で攻撃してくる。俺も短剣を抜き短剣を受け止める。

相手に隙ができた瞬間を狙うがモヤは全く油断をしない。長い間、金属音が鳴り響く。

俺は渋々銃を抜く。2発発砲してかわした先に短剣を突き刺す。相手は短剣で受け止める。

莉々さんと戦っているように思えてくる。しかし目の前の相手はモヤだ。

激しい攻防を続けて何分がたっただろうか。ふと思考した瞬間をモヤは見逃さなかった。俺の心臓部を貫く。そうして俺は離脱した。

「やぁやぁ。激しい攻防戦を勝ち抜いたのは君の影か。」

知らない圧力のある低い声が響く。俺は声の主の方をむく。そこには赤髪に黒メッシュを入れた青年がたっていた。俺は青年を見つめる。

「自己紹介がまだだったね。僕は白鳥白夜。能力は一応属性系とだけ言っておこう。」

白夜と名乗った青年はこちらに向かってくる。それを坂田先生が遮る。

「何してんだ。お前ここは1年の教室だぞ?」

どうやら白夜さんは先輩のようだ。

「そうですね。期待の新人を見に来ただけですよ。もう去りますよ僕は。」

そういい白夜先輩は自らの教室へ戻って行った。あまり状況が把握できてないのは俺だけでなくこの教室にいる大半がだ。

スクリーンには影狼対氷能力者、田中幸子の戦闘が映し出されている。

まずいな。正直前にいる彼女は戦闘になれている。それに氷の扱いにも慣れている。まず僕は足を凍らせられないように気をつけなければならない。だが足にばかり気を取られると大きな氷に貫かれる。

あまり使いたくなかったが勝つためだ。そう思い僕は遠吠えをする。これを合図に僕の全身が毛に包まれ、手足は太く、頭からは耳が、お尻からはしっぽが生えてくる。そうして四足歩行で僕は前方の敵を睨む。その直後大地を後ろ足で蹴り距離をつめ、手であった部分の前足で敵を引っ掻く。力を込めすぎて肉がえぐり取られる。相手はそんなこともお構い無しに能力を行使する。しかし僕のスピードには追いつけない。そうして僕がヒットアンドアウェイを繰り返しているうちに彼女は離脱した。どうやら彼女が最後のようだった。

「影狼大丈夫か?」

俺は先程本気を出した影狼に声をかける。しかし彼は俺の問いかけに答える前に膝から崩れ落ちた。彼は寝息を立てていた。どうやらあの技は体力を多く消費するのだろう。

俺は目の前で倒れている影狼を保健室へ運び寮へ戻った。

「帰ってきた。おかえり」

剣が俺を出迎える。俺もそれに応じてベットに入る。まだ早いが少しだけ疲れたので眠りにつく。そういえば明日の対戦相手は毒ガスの使い手だったな。

体育祭3日目

俺は目を覚ます。いつも通りの場所にある時計で時間を確認する。4時を示していた。軽く動くために体育館へ行く。そこには剣がいた。

「ちょっとやり合おうぜ」

その一言で剣は戦闘態勢をとる。剣くんは大鎌を持っている。確かこの鎌は闇属性が付与された武器。闇属性は基本使い魔の使役だが武器に付与した場合攻撃をしたとこから体を蝕む毒のようなもの。当たらなければどうということはないのだが大鎌なので距離の間合いが難しい。距離を取りすぎるとこちらの攻撃が通らない。かといって攻めすぎても攻撃をもらってしまう。ここで銃を出せば勝率は上がるが、体育祭で相手が大鎌を使ってこないとは言いきれないので銃は封印する。ならばと思い駆け出す。相手の裏を取りに行く。剣くんは体を半回転させこちらをむく。大鎌が届かない距離をとっているのでつめてくる。距離が相手の間合いまで入ると切りかかる。俺はそれをしゃがみ回避し、一気に立ち上がる。顎あたりに直撃すると思いきや剣くんは後退してその攻撃を避けた。これではもうキリがないと思い、

「降参だよ。」

と俺は口にした。

3度目の転送。次の対戦相手は毒ガス使いの毒島クラーレ。日本とアメリカのハーフ。体はあまり大きくなくそこそこの170くらいだった。

以前見た情報をまとめていると相手が入ってくる。

いつも通りの校長のふざけた合図で試合が始まる。

毒島くんの位置を確認するがどこにもいない。透明化か空間系か。どちらにせよ後々何とかしないといけない。そう思っていると上から誰かに切りかかられる。俺はそれをかわして相手を見る。そこには炎舞くんだった。

「何してんの?」

少し焦り気味に俺は言う。ほんとに何してんだ。炎舞くんは豪快に

「お前を殺すそうして俺らも勝つ。」

清々しいまでに謎の宣言をした。そうして彼が炎を出す。いつも以上の火力の出ている綺麗な赤色の炎。それを俺に向かって放つ。ボンッと軽く爆発音がする。なぜ爆発したのかわからないがなんとか炎舞くんを退ける。周りを確認する。こちらが優勢と言ったところ。しかしまだ気は抜けない。そう思いながら敵と交戦をする。俺が蹴りをはなとうとした瞬間後ろからの攻撃。完全に死角だったその攻撃を避けた事に敵は驚いていた。殺気や足音などの情報出て気が近寄ってきてるのはわかっていた。しかし2対1はやりにくいな。仕方ないと思い、2対1を受ける。数秒の睨み合い。相手は一気にかけてくる。下段からの切り上げ。それを後退して避ける。しかしそこにはもう1人の相手がいる。俺はそいつの顔を蹴り、そこを支点に飛び空中でもう1人の方へ向かってナイフを投げた。ぐさり。ナイフが人に刺さる音がした。投げナイフは難しいと聞いたが案外簡単にあたるな。

気づけば先程の2人は離脱していた。

ビリッ。頭に電撃が走るような痛み。その痛みは一瞬だった。しかし試合は進行していく。うちのクラスは俺と炎舞だけ。パッと見相手は居ないように見える。

1度深呼吸をする。先程よりも強い痛み。そうして指先のしびれ。ここで俺は理解する。この頭痛が毒ガスから来ていることに。

「しゃがめ。炎舞」

俺はそう声を張り上げ叫ぶ。珍しく俺の支持に従う炎舞くん。炎舞くんの近くまでしゃがみながら行く。

「多分毒ガスが充満してる。いちど下に炎を放ってくれないか?」

俺は提案をする。しばしの静寂が続きボッと炎が出る。先程のように炎は爆発しない。やはりガスは空気よりも軽く上、上へと行っている。あの舞と同じ火力を出せれば毒ガスに点火させ俺ら事吹き飛ぶ威力は出るだろう。しかし舞を踊れるスペースはない。どうしたものかと俺が考えていると。

「単体での巨大な大きな炎の作戦は可能だ。しかしそれを操作するのは難しい。」

能力系の基礎とも言われる知識。そんなことを俺にいって何になるんだ?いや待てよ。

「炎舞。天井に届くまでの火柱は何本出せる?。」

炎舞くんは考え込みこういう。

「3いや4本だと思う。」

それだけ出せれば十分だ。

「三本火柱を立てて残りの力であの舞を踊ってくれ。できるだけ背は低くして。」

コクリと炎舞くんは頷く。そうして数秒後三本の火の柱が生成される。それと同時に俺は大地を蹴り、垂直跳びをする。1mほどしか飛べていないが、そこで拳銃を発砲する。

火柱らがボンッという爆発音を上げ当たりが炎に包まれる。その数秒後火柱よりかは小さな爆発音。やはり可燃性のガスか。俺の周りでも大きな爆発。そうして燃え続ける炎眺めながら離脱した。

教室に戻り空を見る。嫌になるほどの快晴だった。窓を見ながボーとしていると校長の声が校舎に響く。

「D組全員離脱によりA組の勝ちとなります。」

勝った。あの毒ガスに気づかなければ普通に負けていた。手には汗が滲んでいる。あちらにいる時にかいたのか、こちらに来てかいたのかそんなことは今どうでもよかった。

俺は屋台を見に行く。そこには今日戦った相手毒島クラーレの姿があった。彼の口元にはスカーフが巻いてある。

「いい試合でした。」

気づけば口が開いていた。クラーレくんは少し驚きいていた。

「君か。名前は確か…風早鎧亜。NO力者だったよね」

こくりと頷きながら焼き鳥を一口ほお張る。そんなことはお構い無しにクラーレくんは話を続ける。

「可燃性のガスを使ったのが仇となったね。正直あれは炎能力者だったり銃を使う人を不利にするという思惑があったんだけどね」

その保険が自分が負ける敗因になるとは。皮肉もいいところだな。気づけば俺は苦笑していた。その後クラーレくんとの会話を少しだけして部屋に戻り、睡眠に着いた。

体育祭4日目

俺は目を覚ます。いつも通りの位置にある時計で時間を確認する。しかし時間は十二時で止まっている。日差しは差し込んでいる。時計の電池が無くなったか。後で買いに行かないとな。鍛錬を積み、朝食を摂る。その後俺は近場のコンビニへ行き電池を購入する。部屋に戻ってきた俺は時計に電池を入れる。

止まった時計は過去の時間を刻み出す。それを俺は強引に今の時間に合わせる。

教室に入り定位置に着く。今日はリベンジマッチ。一応とある奴に作戦を説明しそれの実行を頼んでいるが、実行してくれるかは分からない。

4度目の転送。いつも通りの場所。少しづつ体が慣れてきている。そんなことを考えていると1度見た人たちがいる。

そうして校長のふざけた声が響く。

戦闘が始まる。すぐさま雨水は空間の中に引き込まれて言った。敵と交戦しながら水位の確認をする。水は全くない。上手くやっているようだ。目の前の相手をチャチャッと片付ける。しかしうちのクラスは人が少なくなっている。パチンパチンと指を鳴らす音が聞こえてくる。その音の方を見ると大きな鎌を持った少女がいた。死神も言う言葉がふさわしいそんな風貌の少女。パチん。音が近づいてくる。死へのカウントダウンのように。パチン。今までよりも近くでかわいた大きな音が鳴った。

「じゃーね。」

息が上がる感覚がある。あんなものを見てしまっては仕方ない。何をされたかわからなかった。しかし俺は能力を行使して対策可能だ。少し考える。何度かあいつに単身で挑むことになるかもしれないな。そう俺は思うのであった。

2度目の挑戦。俺はそうそうに離脱し、あいつの動きを見ていた。

あいつはフラフラとした足取りでに鎧亜に近づく。そうして一瞬で鎧亜の首を切り落とした。何も見えない。本当にあいつは何をしている?何度も同じ手で離脱させていく。その様子はまさに死神だ。

怖い。そんな単純な感情が湧いてくる。震えが止まらない。何度も挑戦しては負ける。挑戦した回数を数えるのを辞め始めた時に俺にふと一つの案が浮かぶ。

俺は震える手でカバンの中にあるスマホを探し、鞄からスマホを出し連絡を入れる。

俺は目を覚ます。いつも通りの位置にある時計で時間を確認する。しかし時間は十二時で止まっている。日差しは差し込んでいる。日差しを確認した瞬間スマホがなった。俺はスマホを確認する。時くんからのメール。内容は教室に来て欲しいとの事。俺は軽く準備をして教室へ行く。

「きたきた。」

日差しの差し込む教室に1人時くんがいる。何故か自分の席ではなく教卓の上に乗っている。

「でようって何?」

俺は聞く。時くんは教卓に座ったまま用件を伝えてくる。時くんの言うことをまとめると今日あの水の能力者以外の化け物と俺たちは対峙することになるということ。俺達はそいつに負けるということ。最後にそいつを倒して欲しいということ。

「そいつの能力は?」

「分からない。ただ一瞬で僕らの首を取れるということしか。」

めんどくさい。どう対処する。一瞬で俺らを始末できる?能力が分からない能力者ほど厄介なものもないな。1度対峙してみるか。

「あとあいつは君たちを倒す前に指を鳴らしていた。」

多分それが能力発動の合図なのだろう。というかなぜ時くんはそこまでの情報を持っている。

「なんで知ってるの?」

今更な質問を俺はなげかける

「僕の過去逆行の能力を使ったため。」

そう答える時くん。

あれから1度寮に戻った。対策を考える。俺ハッとする。相手が初見殺しならこちらも初見で殺していけばいい。簡単な話だ。まだうちのクラス以外には見られていない、最大の凶悪な攻撃を。

そうして俺はその攻撃を仕掛けるために話をつけた。

俺らは戦場に移動していた。また校長のあのふざけた合図で試合が始まる。俺は炎舞くんに連絡をする。

「あの舞の中で最大火力の奴の準備して。発射はこっで合図するから」

いやに聞き分けの良い炎舞くん。

それから数分、指を鳴らす音が約5回程度聞こえた。

「剣。闇。指パッチンならしてる奴に当てるだけでいい」

「リョーかいっ」

明るい声で返事が返ってくる。そろそろだ。

「水の能力者離脱。」

少しだるそうな声が聞こえてくる。それを合図に俺は指示を出す。

「透。麻耶の空間に」

「透。蝶はこっちで貰う。その空間2つ以上の生物がいたら変なモヤが敵対してくる。」

待てよ。敵対?モヤが。あの時のはそういう事か。

「OK1発」

剣くんの声が聞こえる。よし。順調に進んでいる。

「炎舞。最大火力!」

俺は半ば叫んでいた。その声を聞いた炎舞が数秒して

「炎の舞 壱式 宵闇」

一瞬にして大きな炎が上がる。俺達は何も見えなくなる。炎が眩しい。炎は俺たちから視界を奪い暗闇へと導いた。それはまさしく月の出ていなく、暗い宵闇。しかしそれも数秒俺達は視界がクリアになっていく。音が鳴る。パチン。

「勝ち。」

そんな声が会場に響き渡る。それは俺らのクラスの声ではなく、確かに対戦相手の声。時くんが絶望している。そうして1人また1人と離脱していく。俺以外の全員が一瞬で離脱していく。

俺が最後に残り、俺は

「俺らの勝ちだ。」

指がなる瞬間は来ない。

「E組全員離脱によりA組の勝利ー」

校長の声が響く。全身の力が抜け俺は膝を着く。体は震えている。

ぐでぇーと自分の机に突っ伏している不死原神楽に声をかける。

「なんや?そない悔しかったんかい?」

ビクッと反応して起き上がる神楽。

「だって、1度勝った相手だもん!」

少し感情的に抗議をしてくる神楽。わからんでもないわ。その言葉をグッと飲み込んで口を開く。

「しゃーなしやなー。まぁ来年もあるわけやし頑張ろかー」

「屋台…」

少し不機嫌に神楽が言うのだった。

俺は開いた口が塞がらなかった。確かにいるとは確信していた。だからこの学校に入学した。けれどここまで横暴な戦い方とは思わなかった。体が震え始める。大丈夫あの時とは全く違うのだ。筋力も運動神経もそして能力も、何もかもが。

俺は風にあたるために外に出た。心地よい風が俺を包み込む。この時期のこの時間帯が一番いいのだ。

「鎧亜くんやんか。なんしたの1人でこんな所で。」

明る声が響く。その声の方をむく。そこには雨水雨竜と死神のような女の子がいた。

「いや別にただ風に当たりたくって。」

考え事のことは隠して伝える。

「そーなんか。つか武人名家の自分があんな戦い方するとは思わへんかったわ。」

武人名家という言葉に思わずみがまえる。短剣に手をかけそうになるが踏みとどまる。

「お前それをどこで。」

「おー怖い怖い。誰にでも聞いては行けへんもんがあるんやなぁ。ちなみに俺は分家の子や」

水使い、分家、1度あったことがあるかもしれない。それもほんとに幼い頃。

「思い出したかいな。一応初対面ちゃうんやで俺ら。悲しーなぁ。忘れられるっちゅうんわ。まぁ名乗らなかった俺も悪いんやけどな。」

そんなことを覚えてるはずないだろ。その後もっと大きな絶対に忘れては行けないことがあったのだから。

「そこの死神みたいなお嬢ちゃんも分家か?」

「ちゃうちゃう。赤の他人や。」

雨竜はケラケラと笑っている。死神の子は不機嫌そうに

「不死原神楽。来年はあんたを倒す。覚えとけ。」

それだけ言って去っていた。

「自分えらい気に入られてるやん。良かったなぁ。」

あれのどこに気に入られてる要素が入っていたのだろうか。よく分からない。そんなことを思っていると2人は去っていった。騒がし奴らだったな。少し考えてから寮に戻った。

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