第9話 密着!はたらく仏たち

 地獄といえば、『密着!はたらく仏たち』という漫画を同門の寺が共同で作った。最近の若い連中は経典を読むのが苦手だ。暗唱はできるのだが、意味を理解しようとしない。曼荼羅ではストーリが理解できない。如来と菩薩の区別もつかないし、化身といっても釈迦がコスプレして現れるぐらいにしか考えてない。そこで、経典に描かれているあの世の姿を漫画にした。


 中でも人気なのが、閻魔大王を描いた『密着!仕分け人』だ。

「よいか、良い官吏になるにはホウレンソウが大事じゃ。」

 閻魔が閻魔庁に配属された新人の入庁式で訓辞を垂れる。

「ホウレンゲキョウではないのですか?」

 新人から野次が飛ぶ。

「それは、極楽の話。生前の悪行の報告する倶生神、死者を連行する死神、刑に応じた地獄への送付する獄卒。これらを称して、地獄のホウレンソウと呼ぶ。」

 新人はまず、獄卒として地獄のマップを覚える。その後、死神となり、あの世とこの世を往来する。最後に倶生神に仕えて人が生まれるとその人に張り付いて記録を取っていく。訓示は

「地獄で最も重い罪は、死者の記録の改ざんや紛失じゃ。」

 という言葉で終わる。


 あの老人、下川ともきだったな。倶生は、ぐしょうと読むが、ともきとも読める。もしやと思いネットでしらべたが、さすがに別人しか出てこない。特殊なことをしていれば本名ではないかもしれない。罪が重い死者は、三途の川の深い川下を渡るという。


 ちなみに、『密着!はたらく仏たち』のアニメ化の予定は無い。

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