第23話 ストレッチしましょう(1)
また、同じ姿勢をとり続けていたのですか?
お体がカチコチに固まって、今にも全身から、ギシギシと軋む音が聞こえてきそうです。
そんなことを繰り返していると、しまいには錆びついてしまいますよ。
ふふふ、これは失礼。
もしも貴女がそうなってしまったらと思うと……とても悲しくて。しなやかなお体は、女性の魅力の一つではないでしょうか。
まったく貴女という人は、どうしてこんなになるまで頑張ってしまわれるのでしょうね。
では、こちらへいらっしゃい。
私と一緒に、ストレッチしましょう。
さあ、このマットの上へお座りください。
ご自宅で行われる際も、硬い床の上ではお体に負担がかかり、また冷えてしまうこともありますので、大きめのバスマットかブランケットを敷いた上で行うと良いでしょう。
お持ちでしたらヨガマットでも良いですよ。
ただし、わざわざ準備する必要はありません。
「買ったのに使っていない」「片付けるのがめんどくさくて敷きっぱなし」などということになってしまうと、目に入っただけでネガティブな気持ちになってしまいますから。
ブランケットなら、目についたら貴女のお膝にかけておけば良いでしょう?
暑い時期だって、案外足先などが冷えることはあります。油断せず、いつでも温かく保ってあげてくださいね。
ストレッチを行うにあたって、気を付けていただきたいことが2つあります。
ひとつ目は、しっかり息を吐きながら行うこと。
頑張り屋さんの貴女のことですから、一生懸命にやろうとして呼吸が浅くなってしまうかもしれません。しかしそれでは、お体がリラックスできなくて効果的にストレッチできませんから。
深い呼吸、特に吐くほうを、常に意識してみてください。
ふたつ目は、無理に伸ばさないこと。
無理をすると、かえって筋肉が緊張して固くなってしまいます。気持ちよく伸ばせる、ご自分に合う範囲で良いのですよ。
では、床に座った状態でできる下半身のストレッチを、3つ行っていきましょう。
まずは長座前屈です。
疲れやすい
床に座り、両脚をまっすぐそろえて前に伸ばしたら、息を吐きながら上体を前に倒していきましょう。
背中は多少丸まっても構いませんが、丸めすぎて頭だけが倒れて行かないようにご注意ください。股関節で体を折りたたむようにして、お腹を太腿に近づけて。
反動をつけて倒すのではなく、吐く息とともにゆっくりと体の力を抜いて、重みで自然と沈んでいきます。
無理に伸ばすと傷めてしまいますのでご注意を。あくまで、貴女のお体を労るためのストレッチです。あんまりイジメないであげてください。
特に最初のうちは、なかなかそれらしいポーズが取れずもどかしい思いをするかもしれません。けれど「深く倒せれば良い」というものではありません。脚の裏側が伸びている感覚があれば、そこが正解です。
貴女は貴女の、心地好いと思える深さで良いのです。
次は、腿の前側を伸ばしていきましょう。
反り腰や猫背によって体重が前のめりになっていると、この辺りがパンパンに張ってしまいますからね。ヒール靴をよく履く場合も同じです。
左脚はまっすぐ伸ばしたまま、右脚だけ膝のところで折りたたんで、踵をお尻の横にもってきてください。
おや、もう既に前腿がつっぱっていますか? では、そのままゆっくり呼吸して。筋肉がじわじわと伸びていきます。
余裕があるようなら、肘をつきながら背中を後ろへ傾けていきましょう。この時に腰が反ってしまうと、痛めてしまいますので無理のない範囲でなさってくださいね。
右膝は浮いてしまっても構いません。
では、曲げている脚を伸ばして、一度楽にしてください。
反対側もやっていきましょう。
最後は、股関節を緩めるストレッチです。
下半身への血行が良くなると共に、骨盤の歪みを整えやすくしますよ。
一旦、最初のように両足をそろえて前に伸ばしたら、ブラブラ~っとお好きなように揺すって、力を抜きましょう。
では両足を引き寄せて、足の裏と裏を合わせてください。余裕があれば足は体の近くについて、きつい場合は少し離しておきましょう。
おや、股関節が強張っていますね。開いた膝を、パタパタと軽く上下に揺すってみましょうか。さっきよりも緊張が抜けて、少し床に近づきましたね。
ここから上体を倒して、さらに股関節を広げていきますが……、もうお分かりですね? そう、大切なのは、反動などを使って無理に押し広げないこと。体の重みで自然と広がっていきますから。
では、いきますよ。まずは一度、腰を伸ばして背筋を整えましょう。
それから深く息を吸い込んで、吐きながらゆっくりと前に倒してください。最初の前屈と同様、股関節から折りたたみます。腰が丸まって後ろに下がってしまわないようご注意ください。
手は足に添えていても構いませんし、心地好ければ前方へ伸ばしても構いません。
吐く息と共に、力を抜いて。上体を前に預けていきます。股関節がじわじわと広がっていくのがわかりますか?
あまり前に倒れない? そんなことは構いません。脚のつけ根の股関節周辺に、伸びている感覚があればそれで良いのです。
続けるうちにだんだん倒せるようになってきますから、今あまり倒せないのなら、一か月後、二か月後を楽しみにしておいてください。
それぞれのポーズにかける時間は、貴女の心地好い長さで構いません。
ゆったりとした呼吸5回分くらい、あるいはもっと長く3分以上時間をかけると、深層までじわじわとほぐれていきます。
お時間のない時は、20秒ずつなどでも構いませんよ。
それでは続いて、上半身のストレッチも行いましょう。
(後半へ続きます)
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