第19話 休日のご予定は


いらっしゃいませ。


今日は来てくださるのではないかと期待して、こちらを用意していたのです。


レモンのパウンドケーキ「ウィークエンド」に、ほんの少し紅茶の風味を効かせて。当店流にアレンジしてみました。

フルーティな香りとスッキリとした飲み口で、レモンティーにも適した「ニルギリ・ティー」と共に召し上がれ。



そうそう、ウィークエンドといえば、次の休日のご予定はお決まりですか?

いえ、誰かと都合を合わせて、一緒に出掛けるのだけが休日の予定ではありません。


独りを楽しめるというのは、大人の嗜み。

それにこのご時世ですから、人の多い場所へ出かけず、静かな自分の時間を持つことは、社会貢献にもなります。


「週末はどうだった?」なんていうのは、欧米ではよくある挨拶の一つです。

もし貴女が休み明けにこう聞かれたら、何と答えますか?

「特に何もせず、家でのんびりしていた」なんていう休日もたまには良いものですが、毎回それでは少々寂しい気がいたします。


「コーヒーショップに行って、新しい豆を試してみた」

「近くを散歩して、季節の花を見つけた」

そんな些細なことでも良いのです。

もちろん、出かけなくても、出来ることはたくさんあります。


小さくても「これをした」と言えることが一つあれば、「何もなかった」「何もしなかった」という休日より、有意義だったと思いませんか?

そして夜には、またこちらへいらっしゃい。

その日どんな休みを過ごされたのか、私に教えてくださいませんか。



これは休日だけでなく、日々の生活にも言えることです。

毎日単調な生活で、ただ月日だけが過ぎて行って、自分は何も進歩していない――そんなふうに考えることがあれば、一日に一つ「今日はこれをした」と言えるようなことを作ってみるのはいかがでしょう。

ほんの小さなことで良いのです。


「仕事帰りに寄り道をした」

「以前から気になっていたメニューを試した」

「いつもよりちょっとだけたくさん歩いた」


そんなことでも、何か一つあるだけで、ちょっとした達成感が得られますよ。

誰かに言うほどのことじゃなくて、自己満足でも良いのです。

自分を満足させられるなんて、すごいことではないですか。


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