第18話 仮面を外して


え? 私の仮面の下が見たいですって?

ふふふ、嬉しいですね。それほどまでに貴女が、私のことが気になって仕方ないとは。

おや、照れなくても良いのですよ。


では、そうですね。貴女がその仮面を外したら、私も仮面をとるといたしましょう。

え、「仮面なんてつけていない」ですって?

いいえ、貴女は仮面をつけていますよ。


今日の昼間。言いたいことを飲み込んで、思ってもないことを口にして、望まれるままに振舞っていた貴女は、いったい誰の仮面をつけていらっしゃったのですか?

どうして知っているのかって? そりゃあ私は、いつだって貴女のことを見ていますからね。

また、照れてくださるのですか? 嬉しいですね。


それに、今だって。

私と二人きりの今でも、貴女はまだ、仮面を被っていらっしゃいますよね。

本当の貴女はどこにいるのです? 心の奥底に、仕舞い込んではいませんか?

いいえ、誤魔化してもダメです。私にはわかっていますよ。


人にはそれぞれの役割がある。

それに応じた仮面をつけて、ご自分に求められる役割を果たそうとする貴女は、とてもご立派だと思います。

仮面は、自分ではない誰かのため――自分自身の顔は、鏡でも見ない限り、普段は目にしないですから。


けれど、私の前でまで仮面を被り続ける必要などないのです。

私は、ありのままの貴女が知りたい。

その仮面を取り去って、貴女の素顔を、私に見せてくださいませんか。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る