第15話 紅茶とチョコレート
いらっしゃいませ、こんばんは。
今日もお仕事お疲れさまでした。
おや、本当に疲れたというお顔をしていらっしゃる。ふふふ。
そんな金曜の夜には、こんな紅茶はいかがでしょう。
こちらはラム酒の風味をきかせたフレーバー・ティーです。
ダークチョコレートとの組み合わせは、ちょっと大人の味わいだと思いませんか?
チョコレートの原料であるカカオは、古くから貴重な薬として扱われていました。それだけ、健康に良いとわかっていたのですね。
カカオには、ポリフェノールやテオブロミンなどの成分が含まれています。
ポリフェノールは、ワインや緑茶に含まれることで知られていますが、カカオにはカカオ・ポリフェノールが豊富で、高い抗酸化作用があります。
動脈硬化の予防、がん予防、さらにはアンチエイジングなどの効果が期待できますよ。
またテオブロミンにはリラックス効果のほか、集中力・記憶力を高める作用があるとされます。
ただし、健康のために召し上がるのであれば、原材料をよくご確認ください。
安価なチョコレートなどは、脂肪分の塊にチョコレート風味をつけただけのものもありますからね。
パッケージに記載されている原材料は、その製品中に含まれる量が多い順に記載されています。
貴女がお好きなチョコレート、原材料の最初に書いてあるのは、砂糖ですか? カカオマスですか? それとも、植物油脂?
チョコレートはカカオ由来の成分であるカカオマスとカカオバター、それに砂糖などを加えて作られます。
カカオバターとはカカオの油脂分。
「油」ということで想像がつくように、チョコレートに艶を与え、また口当たりをなめらかにするために重要です。
しかしこのカカオバターは高価な天然成分のため、植物油脂で代用されることが多いのです。
植物油脂には、トランス脂肪酸など体に良くない油を多く含むものがあります。ですから植物油脂よりも、なるべく良質の油分であるカカオバターを使ったもののほうが健康には良いのです。
目安としては、カカオ成分70%以上のものが健康的とされています。これは「カカオマス+カカオバター」の合計の割合ですから、一般的に高いほど植物油脂よりもカカオバターが使われており、さらにはポリフェノール等の量も多くなります。
とはいえ、この割合が高ければ高いほど苦味が強くて食べにくいですから、貴女のお好みに合う範囲で良いですよ。
それから、なるべく添加物の少ないものをお選びください。
「ビーン・トゥ・バー(Bean to Bar)」や「フェアトレード」などの、こだわりのあるチョコレートを探してみるのも良いですね。
良質のチョコレートであっても、食べすぎにはご注意ください。
チョコレートは高カロリーな食べ物ですし、カカオ70%でも砂糖は多く含まれます。種類にもよりますが、一日あたり20g前後、一般的なタブレット(板チョコ)であれば1/5枚くらいまでが良いでしょう。
チョコレートは「ニキビ」や「太る」原因と思われがちですが、そうなる理由は多くの場合この「植物油脂」や「摂り過ぎ」なのです。
本来は、健康的な食べ物ですからね。
良質のチョコレートを、日々少しずつ。
それが大人の楽しみ方ではないでしょうか。
ふふふ……いえ、お口の端に、チョコレートがついていたものですから。
ああ、じっとして。今、拭ってさしあげます。
貴女のお疲れを癒してさしあげたいと思ったのに。どうやらこれは、私のほうが癒しをいただいてしまったようですね。
本当に、なんて可愛らしい子なのでしょう。
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