第5話 貴女に潤いを(2)

それでは、出勤される日に一日で1.5Lの水分摂取ができるよう、具体的なプランを考えていきましょう。



朝起きたら、まず200mlほどの水をお飲みください。

冷たい水では寝起きの体がビックリしてしまいますので、常温かぬるま湯が良いですね。


先ほど「一度にたくさん飲んでも吸収されない」と申し上げたところですが、この「起床時の一杯」に関しては、一気に流し込んでいただいて構いません。

寝ている間に失われた水分を補うだけでなく、胃腸を刺激し活性化する目的もあるからです。


ところで「コップ一杯」という表現がありますが、市販されている背の高いグラスやマグカップというのは、たいてい350mlやそれ以上あります。

一杯で200mlというのは、高さ10㎝くらいの小ぶりなコップのことです。


では、朝の支度などをしながら、出かけるまでの間にさらに200mlほどの水分を摂取しましょう。

サプリメントなどを飲まれているなら、それだけで半分はなくなりそうですね。

あるいは、朝食にミルクやジュースをつけるなら、それで構いません。


水筒のお水は準備できていますか? 熱湯を持ち歩いても飲みにくいですから、沸かすなら早めにして、少し冷ましておきましょう。



職場に着いたら、まずは水筒の水を少しお飲みください。通勤時間が長いなら、この時点ですでに少し減っているかもしれませんね。

これ以降、昼食時を除く休憩時間などに、こまめに水筒の水を摂取して、帰る頃までに空にしますよ。


さて、何回くらい飲む機会がありそうですか? 見通しを立てて「一回あたりこれくらいの量を飲む」と決めておくと、最後まで飲みきりやすいですよ。

決まった休憩時間がなかったり、いつでも飲める場合には、「一時間でここまで」のような目安を持っておくと良いでしょう。


デスクでお仕事されるなら、そのままデスクで飲んでうっかり書類やパソコンにこぼしてしまう、なんてことのないようご注意ください。

職場によっては、デスクで飲まないのがマナーという場合もあります。

長時間の座りっぱなしを避けるためにも、一旦席を立って、別の場所で休憩と水分補給を行うのが良いでしょう。


「あまり水分を摂ると、トイレに行きたくなってしまって困る」?

しかし必要な水分を摂らなくなってしまうと、余計に水分の代謝機能が低下して、体内の水分調節が上手くできなくなってしまいます。

こまめな水分摂取を習慣化することで、排出するほうも、サイクルが整いやすくなるものです。


日頃から必要な量の水分を摂れていないと、自分自身が「渇いている」ことに気づきにくくなっています。

のどの渇きをおぼえたときにはもう、軽く脱水状態に入っているかもしれません。



さて、先ほど「水筒の水を飲むのは昼食時を除く」と申し上げましたが、食事中にたくさん水を飲むのはお勧めしません。

口の中の食べ物をじゅうぶんに咀嚼そしゃくしないまま、すぐに飲み物で流し込んでしまいがちですし、大量の水で胃液が薄まってしまいます。

よくんで、唾液の分泌を促すことで、食べ物の味をより感じやすくなり消化にも良いですよ。


少し落ち着いたら、「食後の一杯」はいかがでしょう?

コーヒーなどカフェインを含むものを飲んで15分ほど昼寝をすると、起きた頃にカフェインが効いてきて、スッキリとした頭で午後の仕事に取り掛かれます。


ところで、お茶やコーヒーの「一杯」というのは、本来150mlほどです。マグカップだと、半分にも満たないくらいなのです。

もちろん「マグカップ一杯のコーヒーを飲んではいけない」というルールはありません。カフェインの摂りすぎに注意すれば、一回にどれだけ飲むかは貴女の自由です。

とはいえ、このタイミングではまだ胃の中に昼食が残っているでしょう。たくさん飲むと先ほど申し上げたように胃液が薄まって消化に悪いですから、ここは本来の「一杯」ぶんくらいにしておくのが良いでしょう。


それでは、午後のお仕事も頑張ってくださいね。

ああ、その前に。

水筒の中身は、どれくらい残っていますか? 帰るまでに飲みきれるように、いま一度ご確認ください。


そろそろ帰宅時間が近づいてきましたね。

今日の仕事と、水筒の中身。どちらもきちんと終わりそうですか?

けれど飲みきれなかったとしても、気に病む必要も、無理に飲み干す必要もありません。まだお体が慣れていないだけですから。

最初のうちは飲みきれない日が多くても、少しずつ量を増やしていけば良いのです。

「これだけ残ってしまった」ではなくて、「これだけ飲めた」に目を向けて、ご自分をめてあげてください。



さて、お仕事お疲れ様でした。

お家に着いたら、またコップ一杯の水を飲みましょう。


帰宅後はすぐに夕食でしょうか?

お忙しいですから、そうなってしまうかもしれませんが、少し時間が空くならまた少量のお水を飲んでおいてください。

もし丁寧に自炊をされているようなら、夕飯の支度にかかる前に100mlほどのお水を飲まれてはいかがでしょう。これくらいの量でしたら、30分もすれば胃液は元通りになりますから、夕食にも差し支えません。


おっと、ビールはいけませんよ。お酒を飲むとアルコールの代謝に水が必要ですから、飲む水の量をさらに追加です。

まあ、飲みたい日もあるでしょうから、それは構いませんが。お酒は水分摂取にはならないということは、覚えておいてください。


夕食は寝る3時間前までに済ませるのが理想的とされています。夕食後、胃を落ち着けてから、まだ就寝までに時間があるようなら、その間も水分補給をお忘れなく。

お風呂で汗をかいたなら、その分もしっかりと補給してください。


一日の仕上げに、寝る前にコップ一杯のお水を飲んでおきましょう。

寝ている間にも汗をかきますので、水分不足になると血液循環が悪くなります。


「寝る前に飲むと、夜中にトイレに行きたくなってしまう」?

それは、寝る「直前」に「一気に」飲むからですよ。一度にたくさん飲んだぶんは、体内に吸収しきれず、そのまま排泄されてしまいます。


寝る一時間くらい前には、照明を少し下げて、リラックスして眠る準備に入りましょう。

それから一口ずつ、時間をかけてお水を飲みます。

おっと、スマートフォンやパソコンは、もうお休みさせてあげましょうね。

ゆったりとしたストレッチや、落ち着く音楽などで、心穏やかにお過ごしください。

今日も一日、お疲れさまでした。




いかがでしたか?

起床時・帰宅時・就寝前にそれぞれ200ml、職場に持って行く水筒が500ml。

それに、朝出かける前や夕方・夜の時間に飲むぶんなどを合わせれば、これで1.5Lは超えています。


飲みやすいタイミングは人それぞれですから、あとは貴女の生活スタイルに合わせて調整してみてください。

慣れないうちは1.5Lでもきついかもしれません。そんな時は無理をせず、少しずつ量を増やしていってくださいね。



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