第5話 貴女に潤いを(1)


おや、この雨だというのに、ずいぶん渇いていらっしゃるようですね。


おっと、これは失礼いたしました。春は花粉や黄砂が風に舞い、陽射しも強くなりますから、お肌も疲れてしまいますよね。

ではそんな貴女のために、本日はとっておきのデトックス・ドリンクをご用意いたしましょう。


さあ、どうぞ。

この透き通る色、余計な香りのない、澄んだ液体。

これぞ究極のデトックス・ドリンクです。

味がしない? おかしいですねえ。

ええ、無色透明の、ただの水ですが。


おやおや、怒らないでください。お肌に悪いですよ?

いえ、からかったつもりは、ないのですが……。

それではこちらをさしあげますので、機嫌を直してくださいませんか。


ローズヒップとハイビスカスのハーブティーです。

レモンの20倍と言われるたっぷりのビタミンCをはじめ、様々なビタミン・栄養を豊富に含み、美肌効果や疲労回復にすぐれております。

このルビーのように優美な赤色だけでも、気持ちが上向きになると思いませんか?


ハイビスカスは酸味が強くて少し飲みにくいものですが、こちらは、りんごなどの果実で風味を加えた当店オリジナルのブレンドです。お好みで蜂蜜もどうぞ。


ああ、良かった。笑顔が戻りましたね。

その笑顔こそ一番の恵みです。



もちろん、「お水」が究極のデトックス・ドリンクというのは、冗談などではありませんよ。

デトックス、つまり体内の毒素を排出するためには、体のあちこちで出来る毒素ゴミを血液やリンパの流れによって運び出す必要があります。

体内の水分量が不足していると、血がドロドロになってとどこおり、体内のゴミを持って行ってもらえません。


とはいえ、水を大量に飲んで、体の中がキレイサッパリ洗われるわけではありませんよ。それで洗われるのは、消化管だけ。

体の隅々に残された毒素や老廃物を排出するには、水分がちゃんと体内に吸収されて循環することが必要です。


一日に必要な水分の摂取量は人によって異なりますが、でおよそ2.5Lが目安。このうち約1Lは食事から摂取できるとされていますので、飲料水として必要なのは「1.5L」ですね。

仕事や運動でよく体を動かす場合や、汗をかきやすい夏場はもう少し必要ですが、まずはこの「1.5L」を目指しましょう。


飲むものは基本的に「お水」が良いですね。水道水なら、浄水器を通すか一度沸騰させてからお使いください。

1.5Lをすべてコーヒーやお茶では、カフェインの摂りすぎになりますし、利尿作用もあります。

水が飲みにくいなら、薄めのハーブティーにするか、コーディアルなどをほんの少し加えるのも良いですが、これも摂りすぎにはご注意ください。


一日中家にいられる日なら、気付いた時に飲めますし、飲んだ量も把握しやすいでしょう。

問題は、出勤されている間です。

考えてみれば、職場にいる間は、昼食の時以外あまり飲み物を飲まないし、トイレの回数も少ない――なんていうことに、なっていませんか?


そんな場合は「500mlの水筒」をご用意ください。

仕事に集中していると、つい水分摂取を忘れてしまいがちですが、一般的な8時間前後の勤務であれば、その間にこれくらいの量は摂取しましょう。

とはいえ、500mlは女性には少々重いかもしれませんので、職場で補給できるようなら300mlくらいの水筒にして「午前と午後で250mlずつ」など、途中で足すのでも良いですね。


在宅勤務や、職場にドリンクサーバーがあるなど、常に飲み物を用意しやすい環境であっても、水筒を用いることで飲んだ量を把握しやすくなります。よろしければお試しください。


飲み口が小さいとそのぶん一口あたりの飲む量も少なくなってしまいがちですから、できれば広口のボトルが良いでしょう。洗うのも楽ですから。

また、透明のボトルなら中の量を確認しやすくて便利ですが、熱湯不可のものもありますので、水道水を沸かして注ぐのであればその点もご確認ください。



ではここからは、具体的なプランを考えていきましょう。

(後半に続きます)


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